医療・介護のデジタル化を重点的に「骨太の方針」に盛り込みへ 経済財政諮問会議

政府は2020年6月22日、経済財政諮問会議を開催し、7月に取りまとめる基本指針「骨太の方針」の骨子を概ね固めた。新型コロナウイルスへの対応、「新常態」の実現手段として「デジタル化」を掲げ、様々な分野でその実用化と環境整備を行うとした。特に医療・介護分野でのデジタル化は遅れているとして、6項目にわたって具体的な政策課題を列挙する見通しだ。

「医療・介護におけるデジタル化の加速」をより具体的に規定

この日の会議では、骨太の方針の項目案と、その項目に盛り込む具体的な内容を提案する各議員の提案を検討した。医療・介護分野に関しては諮問会議の常任議員が連名で資料を提出し、その中で「医療・介護におけるデジタル化の加速」を大項目として掲げ、具体的に以下6項目を重点課題として指摘した。

○オンライン診療の活用を促すため、オンライン診療に対応する医療機関の見える化について、都道府県毎に異なる記載内容を統一し、ファイルも読み取り可能なものとするなど、第二波にも備え、早急かつ抜本的に改善すべき。

○リスクの高い高齢者をはじめ希望する患者に対し、オンライン診療や薬剤配送を行う仕組みの構築を急ぐため、オンライン診療や電子処方箋の発行に要するシステムの導入を支援すべき。

○オンライン診療等の時限的措置の効果や課題等の検証に当たっては、医療従事者、受診者、保険者等幅広く意見を聞き、エビデンスを見える化すべき。

○電子処方箋は、サーバの運営主体や運営費用が課題となり、運用が全く進んでいない。新たな日常での早期活用に向け、既存の仕組みを効率的に活用しつつ、3年後の実施開始を前倒しすべき。

○新たな日常では、個人の健診・検診情報や蓄積された診療履歴等が健康予防や診療等に有効活用されるPHRが前提とされるべき。早期整備に向けて年内に工程を明らかとすべき。

○医療・介護データのデジタル化と国際標準化を期限を区切って実現すべき。国と都道府県の両方において、保険者・行政・大学・民間事業者が医療・介護・健診データを一元的に分析できる連携体制を構築すべき。

(令和2年第9回経済財政諮問会議の資料より抜粋 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0622/shiryo_02-1.pdf)

政策決定プロセスの流れとしては、通常この経済財政諮問会議が「骨太の方針」を政府に答申したのち、その大枠に沿って規制改革推進会議が実現の障害となる規制についての議論を行う。また、別途先駆的な内容については、国家戦略特区諮問会議で地域を区切った実践の可能性を議論することになっている。どちらの会議体でも、近年、医療介護の改革について積極的に議論・提言がなされており、議論の具体化が答申後進展するとみられる。