政府が「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)を閣議決定した。医療介護分野に関してはDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた効率と質の向上を図るとし、そのため首相を本部長とする「医療DX推進本部」を設置するとしている。
オンライン資格確認を期限を区切って推進
今回政府が閣議決定した骨太方針では、DXを旗頭に改めてデジタル技術の投入を進める意向が示された。既存の取り組みに加え、より重点化するものとして「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化」「データヘルス改革工程表に則ったPHR(パーソナルヘルスレコード)の推進」があげられた。またその基礎となるオンライン資格確認については、2023年4月からの導入を原則義務付けるほか、マイナンバーカードの保険証利用を推奨し、2024年度中を目処に保険証発行の際のオンラインとの選択制導入を目指すことなどが表明された。将来的には保険証自体の廃止を目指すという。なお先般の診療報酬改定で新設された「電子的保健医療情報活用加算」については、導入後に批判的意見が寄せられていることから、中医協でその取り扱いについて再検討する。
診療に資するデジタル技術の投入に関しては、がん・難病の治療薬創薬推進のための全ゲノム解析結果を含む情報基盤の整備、AIホスピタルの推進および実装、オンライン診療の活用推進について言及された。新たな取り組みとして、歯科分野で「生涯を通じた歯科検診」、いわゆる国民皆歯科検診の検討が表明され、その一環として歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用推進も表明されている。
診療以外の周辺環境への取り組みとしては、デジタルヘルスの活性化に向けた関連サービスの認証制度や評価指針による「質の見える化」や、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備することで、処遇改善を進めるに際して費用の見える化を進めるとしている。
政府としては、これらの取り組みを官民一体で進めるため、首相を本部長とする「医療DX推進本部」を設置し強力に推し進めたい考えだ。