スマートフォンアプリでの本人認証/アクセスコントロールで、電子カルテ情報とPHRの統合実現へ 札幌医大と富士通

 札幌医科大と富士通は共同で、同大学の電子カルテ情報と、患者自身がウェアラブルデバイスなどで自ら記録しているバイタルデータをともに保管できるヘルスデータ基盤の構築で合意したと発表した。情報参照や開示のアクセスコントロールは、患者本人のスマートフォンアプリを通じて行う仕組みで、アプリ開発はAppleの協力を得て行うという。

AppleのHealthKitを活用、データ保存形式はFHIR JP Coreで統一

 両者によると、札幌医科大学附属病院は今回開発するヘルスケアデータ基盤へ電子カルテ情報を共有することに合意。同病院の連携病院も参照できる仕組みを構築する。なお同病院の電子カルテ情報は、医療情報標準規格HL7 FHIRの日本国内における実装ガイドライン「JP Core(FHIR JP Core)」に沿った形式に変換した上で保存する。

 同時に富士通は、共有される電子カルテデータとともに、患者本人がウェアラブルデバイス等を活用して保存している自身のバイタルデータも管理するアプリを開発する。このアプリは共有された電子カルテデータも閲覧可能で、こうしたデータを第三者にどう開示するかのアクセスコントロールも可能とする。患者目線で、自身にかかわる診療データ、バイタルデータを統合して閲覧、管理できる環境が構築されることになり、実現すれば日本初とみられる。

 また富士通が開発するこのアプリは、Appleが医療向けに展開する開発環境「HealthKit」を利用する。研究目的で一部のデータをこの開発環境を利用したアプリで扱った事例は本邦でもいくつかあるが、診療データも含めて共有できるようにする試みは本邦初だ。同社によるとAppleによる技術サポートも受けているという。