眼圧を高感度に無線計測する「スマートコンタクトレンズ」開発、緑内障評価に有効な可能性

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 日本の研究グループが、従来より約183倍と、はるかに感度の高いスマートコンタクトレンズを開発することに成功したと発表した。商用眼圧計との高い相関率も確認できており、今後は実用化に向け臨床試験に取り組むという。

通信アンテナとセンサを一体化しコスト削減も実現

図1:今回開発したスマートコンタクトレンズの概要

 研究成果を発表したのは、早稲田大学大学院情報生産システム研究科の三宅丈雄教授、アズハリ・サマン次席研究員らの研究グループと山口大学大学院医学系研究科眼科学講座の木村和博教授、芦森温茂助教らの研究グループ。

 コンタクトレンズは視力補強を目的とする高度医療機器としての利用が一般的だが、近年、これらのレンズと電子デバイスを組み合わせる研究が盛んとなっている。とりわけ、国内失明原因の第1位である緑内障を検出する医療機器の開発は、疾患予防や遠隔在宅診療を実現する点で健康寿命の延伸や医療費削減へつながりうるものとして期待されている。

図2:ソフトなコンタクトレンズを用いた眼圧計測を実現

 緑内障の早期発見やモニタリングにおいて、眼球内圧力(以下、眼圧)の上昇を検知することは非常に重要であるが、眼圧上昇は日中よりも夜間に進行することが知られているものの、現状の検査機器では24時間眼圧を計測することには大きなハードルがある。そこで研究グループは、市販のソフトコンタクトレンズ上に搭載することが可能な、伸縮性を有するセンサアンテナを開発。豚眼に本スマートコンタクトレンズを装着して眼圧検査能力を測定したところ、従来検出器での0.198 Ω/mmHgに対し36.333 Ω/mmHgを達成しており、約183倍の高感度を達成していたという。また、商用眼圧計(トノメータ)で測定した眼圧値と開発したセンサレンズから得られた抵抗値の相関を調査したところ、決定係数R²=0.93という高い線形相関も得られている。

 研究グループでは、本研究で開発した高感度スマートコンタクトレンズは、眼圧を連続的かつ非侵襲でモニタリングできる世界でも数少ない技術であり、緑内障の早期発見と進行管理に大きな進展をもたらし、患者のQOL向上および失明リスクの低減が期待できるとした。また、装用性の高いソフトコンタクトレンズを基盤とし、アンテナとセンサを一体化することで価格を抑えることにも成功しており、セルフケア型医療デバイスとして幅広い年齢層に普及する可能性があるとしている。今後は実用化に向け、眼科専門医と共同で臨床試験に取り組むため、関連セクターの企業との連携を進める予定だ。

論文リンク:Ultra-Sensitive Real-Time Monitoring of Intraocular Pressure with an Integrated Smart Contact Lens Using Parity-Time Symmetry Wireless Technology(NPJ Flexible Electronics)

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Posted by medit-tech-admin