迷走神経刺激デバイスによる心不全の慢性化抑止を目指すアドリアカイム、サイバーダイングループ等から5.5億円の資金調達
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アドリアカイム(東京都)は、サイバーダインとその子会社のCEJキャピタル、360ipジャパン、個人投資家を引受先とする第三者割当増資および転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行により、5.5億円の資金調達を完了したと発表した。今回の資金調達により、日本国内の治験実施に向けた取り組みとグローバル展開を加速させる。
オリンパスの知財をスピンアウト、迷走神経刺激で心不全の慢性化抑止目指す
2018年創業のアドリアカイムは、元オリンパスの医療技術開発本部長だった小林正敏氏が設立したベンチャー。同社が持っていた知財を譲り受け、独自のコンセプトである「迷走神経」刺激デバイスの実用化を目指している。迷走神経は生命維持のための防衛反応である「迷走神経反射」を起こすが、心拍数の低下や血管拡張による血圧低下を誘引したり、その過緊張により一過性の心停止、失神を引き起こすこともある。この迷走神経の反応をおさえるデバイスが実用化されれば、急性心不全で入院中の患者に投入し心筋梗塞領域縮小をはかり、退院後の発症(慢性化)を抑制することが期待できる。もともとは「非常に微弱な電気的刺激を特定の臓器に与えれば、高い治療効果を得られる」という国立循環器病研究センターの研究成果を心疾患領域に応用したもので、薬剤では実現できない、副作用の少ない治療法ということでも、臨床応用への期待が高い取り組みだ。 同社では、今回投資を行ったサイバーダインとの提携も視野に入れている。サイバーダイン側も、自社が持つ生体信号制御技術との組み合わせが考えらられるとしており、山海嘉之社長は「社の事業と連携をさせながら、アドリアカイム社のチャレンジを全方位から支援する」と述べている。