【内田直樹コラム】クラウドファンディング、はじめました
Med IT Techではこのたび、在宅医療と認知症ケアの分野で大きな役割を果たされている「医療法人すずらん会たろうクリニック」の内田直樹先生のコラムを掲載させていただくことになりました。先生はこの分野へのデジタルテクノロジーの導入に課題意識を持っておられ、昨年からご自身でプログラミングの習得を始めるなど積極的な取り組みをされています。「医療者」と「プログラマー」、2つの視点を同時に持ちながら患者さんと向き合おうとする独自の視点からは、私たちも学ぶことが多いと思われます。どうぞご期待ください。
自己紹介
はじめまして。
医療法人すずらん会たろうクリニックの内田直樹と申します。
当院は在宅医療を中心としたクリニックで少しだけ認知症外来も行いながら、重度認知症デイケアを併設しています。
私自身精神科医で老年精神医学を専門としていることもあり、当院の患者さんは認知症の状態にある人が多いという特徴があります。
毎月1000名以上の患者さん、施設に訪問診療を提供しており、在宅医療を行うクリニックとしては福岡最大規模です。
コラム担当のきっかけはクラウドファンディング
今回、在宅医療とプログラミングをテーマにして、このMed IT Techでコラムを担当させていただくこととなりました。
コラム担当のきっかけは、私が在宅医療に関わるWebアプリケーションを開発しクラウドファンディングを行うことになったためです。
私は在宅医療に携わる医師で毎日のように福岡中を走り回っていますが、実はプログラミングに関しては昨年10月に学びはじめたばかりです。
どういった経緯でWebアプリを開発するに至ったのか。
なぜプログラミングを学びはじめたのか
そもそもなぜプログラミングを学びはじめたのかについて書かせてください。
私はもともと医療介護現場でのテクノロジーの活用を推進したいと考えており、オンライン診療システムやスケジュール管理ソフトの開発の段階に関わりました。
それぞれのサービスは今も在宅医療の現場で使用していますが、この他にも日々の臨床現場でテクノロジーの活用を行いたい場面が複数あります。
特に在宅医療は病院を出て患者さんが生活をおくっているなかに入って医療を提供するということもあり、患者さんの多様な環境に合わせて不十分な情報や資材の中で対応を行うことが求められます。
このため、「こういうものがあったらいいな」と思うことが多いものの、それらのシステム開発を企業に頼むと数百万の見積もりがかえってくることもあり、結局いつものやりかたで非効率に手間や時間をかけざるをえないという現状がありました。
「プログラミングができれば自分で解決できることもあるのかな」と思いながらも、縁遠いものとも思っていたなかで目についたのが「ものづくり医療センター」の開校を伝えるこちらの記事でした。
あいにく記事を読んだ時点で0期生の募集は終わっていたのものの、その後別の記事で1期生を募集していることを知り情報を集めて2021年10月に入校にいたったという経緯です。
といっても、この時点でプログラミングには全く触れたことがない状態でした。
そこから、どのようにWebアプリ開発に至るかについては、また今後の記事でお伝えしたいと思います。
1月19日からクラウドファンディングを行っています
あらためて、スマレポというWebアプリを開発しクラウドファンディングを行なっています。
スマレポを利用することでスマホやパソコンから簡単にレポート報告と共有を行うことができます。
サンクスレポートで職員から、すずらん目安箱で患者さん・ご家族からの感謝を共有します。
また、ヒヤリハットレポートで同じミスの繰り返しを減らし、すずらん目安箱でよせられた患者さん・ご家族の意見を業務改善に繋げます。
詳しくはぜひ、クラウドファンディングのページをご覧ください。
寄稿者:内田直樹(うちだ・なおき)
医療法人すずらん会たろうクリニック院長 精神科医、医学博士
2003年琉球大学医学部医学科卒業。福岡大学病院、福岡県立太宰府病院を経て、2010年より福岡大医学部精神医学教室講師。福岡大病院で医局長、外来医長を務めた後、2015年より現職。在宅医療・訪問診療の領域における精神科医や認知症専門医の役割について情報発信を行い、認知症とともによりよく生きる社会に向けた活動を行っている。編著に『認知症の人に寄り添う在宅医療』(クリエイツかもがわ)。