妊娠前の生理不順が妊娠うつと関連がある可能性 アプリ「ルナルナ」などの利用者データ解析で判明
日本の研究グループが、妊娠前に生理不順の経験がある妊婦のほうが、そうでない妊婦よりもうつの度合いが大きい傾向があることを確認したと発表した。対象の解析データは、エムティーアイが提供するアプリに入力された約3500名の月経周期データで、研究チームでは月経周期を含めたプレセコンセプションケアが周産期のメンタルヘルス対策につながる可能性を示したとしている。
エムティーアイの月経周期管理アプリに入力されたデータを解析
研究成果を発表したのは、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の西大輔准教授、佐々木那津院生らの研究グループ。グループでは「全自動化インターネット認知行動療法による妊娠うつ病・産後うつ病の予防」研究を行なっており、研究の一部としてエムティーアイが提供するアプリ「ルナルナ」などに入力された利用者約3500人の月経周期データなどを解析した。具体的には、研究に参加し初回調査に回答した5,128人の妊娠16週~20週の人のうち、妊娠前から「ルナルナ」を利用し、適切に入力されたと考えられる月経周期(14日~50日)の記録が3周期以上残っていた3,473名の人を対象に、「月経周期変動幅6日以上」を整理不順と定義した上で解析した。
解析の結果、変動幅6日以上の不規則な周期のグループで、エジンバラ産後うつ病自己評価票スコア(EPDSスコア)が有意に高くなっていたことが分かった。うつの可能性を示す「EPDSスコア11点以上」の人が、6日以内の人と比較して約1.4倍多くなっていたという。なお、月経1周期の長さ自体はEPDSスコアとの有意な関連を示さなかった。
研究グループでは、この結果は妊娠前の月経周期特性が周産期のメンタルヘルスに影響を与える可能性を示したものであり、月経周期を含めたプレセコンセプションケア※1が周産期のメンタルヘルスの対策につながる可能性を示しているとしたている。研究成果は論文として昨年12月に「Journal of Psychosomatic Obstetrics & Gynecology」に掲載されている。