心房細動カテーテル治療の術後管理に家庭用心電図計が有効、診断率最大で2倍以上に 京都府立医科大
心房細動カテーテル治療の術後管理に家庭用心電計を用いると、通常診療より多くの再発症例を検出することが可能であることを日本の研究グループが初めて確認した。特定の医療機器で検証した結果だが、現在市場に出ている多くのウェアラブルデバイスでも同様の結果につながることが期待される内容だ。
家庭用心電計が術後管理に効果的であることを初めて示す
心房細動に対する唯一、かつもっとも一般的な根治術である心房細動カテーテル治療には、治療後の心電図モニタリングなど術後管理やフォローアップが重要といわれる。近年、ウェアラブルデバイスを含むさまざまな家庭用心電計が日常的に使用されはじめ、心房細動検出への有用性が実証されているが、心房細動カテーテル治療の術後管理における報告はされていなかった。
京都府立医科大学 不整脈先進医療学講座の妹尾恵太郎講師らの研究グループは、この術後管理に家庭用心電計を活用することの効果について、前向きの多施設研究を行った。具体的には2019年5月から2020年12月にかけ、カテーテル治療を受ける94名の患者を登録。退院後にオムロンヘルスケアの家庭用血圧心電計を使って自宅で毎日心電図を測定してもらうグループと、退院後12ヵ月後まで、3ヵ月ごとの病院受診(その際にホルター心電計などで測定)するグループを通常ケア(UC)の対称群として効果を検証した。
まず、両群における再発患者数は対称群18人に対し主要評価群は31人だった。主要評価項目は「12ヵ月後の心房細動の再発発見率」で、家庭用心電計による測定のアドヒアランス別で解析すると、低遵守率(80%未満)群では1.71倍、高遵守率(80%以上)群では2.19倍となった。また、主要評価群と対称群両方で心房細動が再発した患者(16人)においては、主要評価群の方が40.9±73.9日早く発見できていた。
研究グループでは家庭用心電計(オムロンヘルスケアの製品)を活用すると、通常より短時間で心房細動を検出できるため、心房細動の再発をより頻繁かつ迅速に検出することができたほか、家庭で毎日測定することを維持できれば、通常診療の診断率にも大きな上乗せ効果が期待できるとした。この前向き研究は特定メーカーの心電計を対象としたものだが、多くの家庭用心電計でも同様の効果が期待できるものといえそうだ。