国立がん研究センター、NECらは12日、大腸内視鏡検査において病変疑い部位をリアルタイムに表示し、医師の診断支援を行うAIシステムが日本と欧州で医療機器承認されたと発表した。日本では本日から、欧州でも近日中に販売開始される。
隆起型約95%、表面型約78%の検出精度 見逃し回避を支援
日欧で上市されるのは、国立がん研究センターとNECが開発したAI「WISE VISION 内視鏡画像解析AI」。2016年より研究を開始し、1万病変以上の早期大腸がん及び前がん病変の内視鏡画像 25万枚(動画含む)の画像1枚ごとに、国立がん研究センター中央病院の内視鏡科スタッフが所見を付けた上でAIに学習させ、アルゴリズムを構築したものだという。ソフトウェアの性能試験では、視認しやすい隆起型の93病変と視認しにくい表面型の257病変に分けて解析。隆起型を約95%、表面型を約78%正しく検出した。臨床医の読影試験と比較して、隆起型の病変については経験豊富な内視鏡医と同程度の診断性能、表面型については経験の浅い医師(4名)がこのシステムを使用することで検出精度が6%高くなる結果が得られたとして、「肉眼型が隆起型である病変の診断等の支援(補助)のために使用する医療機器プログラム」として承認された。がん研究センターとNECでは、内視鏡医の経験等の影響を抑えて病変を発見でき誤検出も少ないため、検査時間を延長することなく診断精度の改善・向上が期待できるとしている。
「WISE VISION 内視鏡画像解析AI」は特定の内視鏡に依存せず、主要内視鏡メーカー3社の内視鏡に接続が可能。同ソフトウェアを搭載した端末およびモニターを接続すればすぐに使用でき、院内で移動して使うことも可能だ。またCE規格にも適合しており、近日中に欧州でも販売開始される予定。なお今回の製品のもととなる研究については、2019年10月8日付で論文としてScientific Reportsに掲載されている。