京都府の肺がん検診にAIを試験導入 深層学習で異常部位を視覚表示

京都府、京都府医師会、NOBORI、Preferred Networks(PFN)は、今年度京都府で実施される肺がん検診で、深層学習技術を用いた胸部X線画像の診断補助ツールを試験導入することを発表した。試験導入において医師の診断負荷および見落としリスクの低減効果を評価する。

胸部X線画像に対するAIを新規開発

肺がん検診においては、比較的低コストかつ短時間で撮影できる胸部X線画像を用いることが一般的だが、他の画像診断と同じように読影医の確保と診断負荷が課題となっている。また「肺がん検診ガイドライン」では見落としを防止するため、2名以上の読影医によるダブルチェックが必要とされている。

今回PFNが開発した診断補助ツールは、独自の深層学習アルゴリズムを用い、実際の胸部X線画像による肺がんの診断データを多量に事前学習したモデルを使用する。検診者の画像をこのモデルで解析し、肺がんの可能性がある異常を検知した場合、画面上に対象部位を表示する。今回の試験導入においては、従来の読影医2名による体制を変えず、このツールを用いて医師が最終的に診断するフローだ。検診データは、医療情報を匿名化して保管するNOBORIのクラウドサービスを利用する。

京都府は、肺がん検診において全国に先駆け2015年度に京都市を除く府内でデジタル化ならびに遠隔読影システムを導入し、年間5万件以上のデジタル読影を実施している。今後はシステム化の利点を活かし、本診断補助ツールの利活用によって更なる検診精度の向上を目指す。