低線量CTでの肺結節検出感度を向上させるAIが登場、専門医の感度を上回る

 低線量CTによる肺がん検診が普及しつつあるが、この医用画像に対応する人工知能(AI)の検証例が日本肺癌学会学術集会で報告された。AI使用時の肺結節検出感度41%向上し、症例ごとの感度において非専門医が専門医を上回る結果が出たという。

75症例を対象として9人の読影医が評価

 研究発表を行なったのは長崎大学の研究グループ。75例の低線量CT画像(結節あり61例・196結節、結節なし14例)を対象に、医療スタートアップ、プラスマン合同会社のAI「Plus.Lung.Nodule AIシステム」の検証を9名の読影医(専門医4名、非専門医5名)が行なった。標準線量CTと比較してノイズが多く、より困難な画像条件となる実際の低線量スクリーニングプロトコルを使用し、実臨床での使用条件下でのAI性能を評価した。

 結果、AI支援読影により、症例毎の感度が87.8%から93.8%へ(p<0.0001)、結節毎の感度が52.3%から73.8%へ(p<0.0001)向上し、結節検出能が41%相対的に改善されたという。より詳細に分析したところでは、専門医については結節毎感度が61.4%から 78.7%となり28%の改善が見られ、さらに非専門医については結節毎感度が45.1%から71.6%と、59%もの改善がみられた。なかでも、AI支援を受けた非専門医の93.4%が、AI未使用の専門医(91.0%)を上回る結果を達成していたという。また感度が向上した一方で、特異度は約90%で安定(p=0.51)し、偽陽性による読影医の業務負担増加がないことも確認されたとしている。

 発表で研究チームは、AI支援により読影の経験年数に関わらず全ての読影医の検出感度が有意に向上したことが確認できたとし、特筆すべきは特異度が維持されたことで、これはAIが偽陽性を増やさず、読影医の業務負担を増加させないことを意味しており非常に意義が大きいとしている。