厚生労働省は、3月に開催した薬食審・プログラム医療機器調査会で了承されていたアイリス(東京都)の内視鏡用テレスコープ「nodoca(ノドカ)」を薬事承認した。同製品はインフルエンザ感染疑いの患者を対象に使用する医療機器で、撮影した咽頭画像、問診情報などをAI(人工知能)で解析、感染有無の診断に資する結果を提供する。
専用カメラ+日本人医師の知見を生かしたAIなどで短時間に解析
今回同社が申請を行った機器は、専用カメラで撮影した患者の咽頭写真をもとに、体温等のデータと組み合わせAIがインフルエンザの「陽性」「陰性」を短時間で判定するもの。従来の検査法と比べ侵襲性が低く、医療従事者が二次感染するリスクを減らすことができるほか、検査の迅速化も実現することから、インフルエンザ診療の質量両面でのさらなる改善が期待できる。なおAIのアルゴリズムには、日本の医師の研究成果も活かされている※1。
同社によると研究開発にあたっては、のべ100医療機関10,000人以上の被験者から、50万枚以上の咽頭画像を収集しデータベースを構築。このデータベースの活用によりAIを開発、そのうえで2020年に治験を実施した。今後は世界展開を目指すとともに、咽頭画像を活用してインフルエンザ以外の疾病判定も可能とするべく研究を続ける。現在、COVID-19をはじめとする複数の疾患について大学病院を含む医療機関と共同研究を進めているという。
※1 宮本 昭彦, 渡辺 重行, 咽頭の診察所見 (インフルエンザ濾胞) の意味と価値の考察.日大医学雑誌72巻 (2013) 1号 p.11-18