Amazonは、プライム会員向けに24時間365日対応のヘルスケアAIエージェント「Health AI」の提供を開始した。傘下のOne Medicalと連携し、患者の医療記録(PHR)に基づいた健康相談から、Amazon Pharmacyを通じた処方箋管理、診察予約の自動化までを一気通貫で提供する、エージェント型の次世代医療プラットフォームとなっている。
動的なPHR連携を実現
今回発表された「Health AI」は、AWSのフルマネージド型サービス「Amazon Bedrock」を技術的基盤として採用している。単一のチャットボットではなく、ワークフロー管理、会話内容のリアルタイム監査、臨床的安全性の監視など特定のタスクを担う複数のサブエージェントが協調して動作する「マルチエージェント・システム」として構築されている点が特徴だ。
具体的には、医療データ共有の標準化(Health Information Exchange: HIE)を通じて、患者の既往歴、検査結果、処方履歴、さらにはAmazonでの健康関連商品の購入履歴といったパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)をAIが参照できるようになっている。これにより、例えば「喘息の既往がある患者の咳」といったコンテキストを理解し、一般的なQ&Aを超えた個別性の高い回答を生成する。安全性については、臨床医による広範な合成データを用いた評価を経ており、判断に不確実性が生じた場合は即座に人間の医療提供者へエスカレーションするガードレールが実装されている。
オンライン診療も連携、ケアの連続性を実装
このサービスは単なる情報提供に留まらない「アクション実行型」のエージェントとして設計されており、AIとの対話を通じて必要と判断された場合、Amazon One Medicalの臨床医とシームレスに接続され、メッセージやビデオを通じたオンライン診療へ移行する。
今回のリリースに伴い、米国の一部プライム会員には、最大5回までの無料メッセージ診療が特典として付与される。AIによる初期相談から医師による診断・処方、Amazon Pharmacyによる薬の配送まで一連のプロセスを一気通貫で完結できるモデルとなっている。また、Rush大学やCleveland Clinicといった米国の大手医療機関とも提携しており、一次診療から専門医への紹介までをAIがナビゲートするという。