厚生労働省が5日、2024年度診療報酬改定についての説明資料を公開した。医療ICT関連の項目を抜粋する。 医療DX関連 電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋システム、オンライン資格確認等システム対応の評価 [gallery link="file" columns="1" size="full" ids="10289"] 医療DX対応の「基本要素」として、オンライン資格確認等システム、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋システムをすべて整備した場合の加算が設定された。ただし電子カルテ情報共有サービスは現在仕様と運用について厚生労働省内で議論中であり、稼働は来年度中となっている。 救急時医療情報閲覧機能導入の要件化 今回の診療報酬改定で、救急医療体制の要件として「救急時医療情報閲覧機能」が要件化されたが、現時点でこれは実用化されておらず、現在総務省消防庁に対して開発の予算措置がなされている状況となっている。そのため、適応については来年の4月1日以降となっている。 サイバーセキュリティ体制整備の対象、加算の拡充 昨今のサイバー攻撃被害の多発を受け、体制整備のため評価を行う医療機関の規模を拡大し、評価も拡充した。要件についても、専任従事者を配置するだけではなくバックアップと非常時の業務継続計画(BCP)策定、訓練など、実施項目を定めた。 遠隔医療関連 超急性期脳卒中治療におけるTelestroke(遠隔医療)の推進 [gallery link="file" columns="1" size="full" ids="10293,10292"] 超急性期における脳血栓回収療法について、これまで評価されるのはへき地指定された地域のみだったが、それに加えて医師少数地区とされるところでも評価されることになった。超急性期脳卒中加算の適用を受けている医療機関との連携で脳血栓回収療法を実施した場合の加算が新たに設定されている。 ICU評価体系の見直し(遠隔ICUの評価) [gallery link="file" columns="1" size="full" ids="10296,10295,10294"] 特定集中管理料の算定要件・施設基準が再定義され、新たに宿日直の医師対応でも可とする類型を新設し(UCU5・6)、新設された類型の医療機関が上位の類型(ICU1・ICU2)の医療機関から遠隔医療での支援を受ける場合(いわゆる遠隔ICU)、支援加算が算定できるようになる。 オンライン診療関連 [gallery link="file" columns="1" size="full" ids="10300,10299,10297,10298"] へき地や医師少数地区でのオンライン診療を促進するため、看護師が患者のサポートをするD to P With Nの評価を新設するとともに、これまでてんかんでのみ評価を認めていた難病患者に対する専門医とかかりつけ医の連携について、評価対象を指定難病全体に拡大する。また他に、エビデンスが示され、ガイドラインも策定された精神疾患に対するオンライン診療について新たに評価を設定。CPAP療法についても、在宅での指導管理料の要件に、オンラインで指導を行なった場合の点数を設定した。 画像診断支援関連 [gallery link="file" columns="1" size="full" ids="10301"] これまで特定機能病院にしか認められていなかった画像診断支援AIの活用が、救命救急センターを持つ病院も認められるようになった(画像診断管理加算 3 )。 医療機器関連 プログラム医療機器に対する評価 [gallery link="file" columns="1" size="full" ids="10302"] 国内ベンチャーの「治療用アプリ」が上市され、今後も同様のアプリの実用化が見込まれることから、そうしたプログラム医療機器による指導管理を新たに評価する体系を創設した。実際に導入する場合の指導管理料と導入期加算に加え、保険適用されていない場合は評価療養、未適用の場合で適用期間を過ぎても使用を継続する場合は選定療養とすることで、診療に活用しやすい環境づくりを支援する。 個別の診断支援AIへの評価 内視鏡検査時に病変検出をリアルタイムで支援する AIについて有効性が認められ、加算が新設された。個別の診断支援AIに対し診療報酬が設定されたのは初とみられる。大腸がん検診等での内視鏡検査は、前がん病変であるポリープを検出・切除することは大腸がんの予防・早期発見に有効であるので、今後の効果が非常に期待される新たな評価といえる。