「緊急避妊薬に関するアクセスの拡大が、女性と医療者の『分断』を助長するものであってはならない」
声明を発表し、オンライン署名サイトで賛同を求めているのは「日本の医療・薬事制度について考える会」。主に薬剤師らで構成する有志とみられる。声明ではまず「なるべく早く服用すべき医薬品であるにも関わらず、地理的・時間的・金銭的なハードルが緊急避妊薬へのアクセスを妨げている」と、現在進められている検討会での議論(既報)を意識し懸念を示した。
その上で、2017年に医療用医薬品のOTC薬化を検討する会議において、緊急避妊薬が候補として検討されたものの見送られた経緯を指摘し、日本産科婦人科学会が「もし市販薬にするのであればOTCではなく、BPC(Behind the pharmacy Counter)※とすべき」と発言したことに着目。「緊急避妊薬は全ての女性に提供され、また女性自身が主体的に取り組むべき『包括的な健康管理・支援』の一部分に過ぎず「単に薬が手に入ればよい」とするのではなく、緊急避妊薬を必要とした女性に寄り添い、他の避妊方法に関する情報、必要な場合の受診勧奨など『信頼をともなう関係性』が提供される必要がある」と主張。この取り扱いを実現するため、緊急避妊薬を日本の医薬品分類における「処方箋医薬品以外の医薬品」に変更することを訴えた。
※BPC(Behind the pharmacy Counter)
薬剤師が直接管理・保管し、販売時には薬剤師によるコンサルティングを要する薬。日本の医薬品分類では相当する名称の分類は存在しないが、この団体の声明では「処方箋医薬品以外の医薬品」がそれにあたるとしている。
発起人の1人である水 八寿裕氏(実務薬学総合研究所)は今回の声明について「31日の検討会で傍聴していたが、産婦人科の先生方がすべてこの検討会の意見に賛同しているような雰囲気ではなかった。薬局における交付に関しては、プライバシーの確保の問題はややあるものの、備蓄体制の確保へのハードルは低く現実的な解となるだろう」と語った。
賛同の署名を求めるページでは現時点(2019年6月6日22時15分前後)ですでに60名超の賛同が集まっている。考える会では今月末まで署名を集め、声明に署名を添え厚生労働省、自民党厚生労働部会、日本薬剤師会に提出する予定だ。