Apple Watchの心電図(ECG)の医学的エビデンス確立に貢献した大規模研究「Apple Heart Study」から、新たな論文が発表された。Apple Watchによる不整脈の通知を受けた被験者で「心房細動」と診断された以外のケースを解析したところ、約40%が、いわゆる期外収縮と呼ばれる心房細動以外の不整脈と診断される状態だったことが分かった。さらにこれらの中で追跡できた症例の多数が、その後心房細動と診断されたことも判明した。
「PAC」「PVC」などもApple Watchで検出できる可能性
スタンフォード大学とAppleの共同研究である「Apple Heart Study」は、Apple Watchの心電図機能が医学的に有効であることを示し、医療機器認可の根拠となった大規模研究だが、先日研究チームから追加の解析結果を示す新たな論文が発表された。すでにApple Watchで心房細動のスクリーニングが可能であることは論文で示されているが、今回の解析では、Apple Watchでの「不整脈の可能性」の通知を受け、その後、従来より診断に使用される医療機器の心電図パッチにより「心房細動」と診断できた被験者以外のデータを解析した。
結果、心房細動と診断されなかった被験者のうちの40.1%に「心室期外収縮(PVC)」「心房期外収縮(PAC)」「心房頻拍」「非持続性心房頻拍」がみられたことが分かった。また、心電図パッチでその時は心房細動と診断されなかった被験者のうち、症例を追跡できた30.5%について、のちに心房細動と診断されていたことも分かった。これらの一時的な症状がある程度の精度で検出でき、その多くが後日実際に心房細動と診断されたとみられることを考慮すれば、Apple Watchによる心電図計測が、ハイリスクな患者を事前に把握することに役立ちうることがより強く示唆されたといえるだろう。