スタンフォード大、「Apple Heart Study」被験者40万人の予備的調査結果報告

米スタンフォード大学医学部とAppleは、2019年3月16日(現地時間)、被験者40万人に及ぶ大規模なモバイルアプリを活用した、心房細動のスクリーニングに関する調査研究の予備的な報告結果を発表した。それによると参加者の0.5%がアプリにより異常を報告され、追跡調査したうちの34%が実際に心房細動であったという。

被験者40万人、心電図パッチとの比較調査も

2017年11月の研究開始直後から大きな注目を集めてきた「Apple Heart Study」の報告がまとまった。Appleのスポンサードで実現したこの調査研究は、両者が共同開発したApple Watch向けアプリを使い、心拍数と脈拍のセンシングデータで心房細動を検出できるかを探索するもの。米国在住22歳以上のApple Watch Series 1,2,3を所有する40万人以上が参加する、前例にない大規模なものとなった。

調査研究は次のようなフローで行われた。まず、アプリ「Apple Heart Study」をダウンロードしてもらい、被験者の心拍数、脈拍を断続的にチェックする。不規則な脈拍が測定されれば被験者に通知され、研究参加医師による遠隔相談を実施。相談した被験者には携帯型心電図パッチが送られ、1週間のより精緻な追跡調査を実施し、全体としてApple Watchによるスクリーニングが有効かどうかを検証した。

発表の中で、両者は主な調査結果として以下を報告した。

・不規則な脈拍があったと通知された被験者は、全体の0.5%であった。

・Apple Watchでの不規則な脈拍検出と心電図パッチとの比較を行ったところ、アプリの脈拍検出アルゴリズムの予測精度は71%であった。またアプリから通知を受けた被験者は、通知を受けた時点を基点にした統計では、84%がその時点で心房細動の状態であったことが分かった。

・通知を受け医療相談を経て、心電図パッチによる追跡調査を受けた被験者の1/3、約34%が実際に心房細動であった。

・不規則な脈拍の通知を受けた被験者の57%が、何らかの医学的な処置を求めた。

この調査結果に関して、主任研究者のひとりであるスタンフォード大医学部 心臓血管医学のMintu Turakhia准教授は「この調査結果は、Apple Watchのような機器が心房細動や、致命的で診断未確定の疾患などの状態を検出する上で役割を果たせる可能性を示した」と語り、Lloyd Minor学部長は「心房細動は始まりに過ぎない。この研究は、ウェアラブル技術を疾患予防に応用するさらなる研究への扉を開くものだ」と今後の見通しを述べた。

なお心電図機能を搭載する最新のApple Watch Series 4に関しては、研究開始後に発表された製品であるため対象から外れている。