Googleがノイズキャンセリングイヤホンをソフトウェアのみで「脈波計」にする技術を開発

 Googleが、現在広く普及しているノイズキャンセリング機能を持つイヤホンに、ソフトウェアをプラスオンするだけで心拍などを計測できる技術を開発したと発表した。光学式心拍センサーと比べて肌色などによる精度低下はなく、イヤホンの本来機能である音楽再生にも影響しないという。

APG(音声プレシスモグラフィー)と命名

Googleが示した新技術「APG」の概念図

 同社が公式ブログで発表したところによれば、この技術はいわゆるプレシスモグラフィーの手法を取り入れており、APG(APG: Audioplethysmography for Cardiac Monitoring in Hearables)と名付けている。近年市場で人気のアクティブノイズキャンセリング技術を搭載したワイヤレスイヤホンには、周囲のノイズを相殺するため、それらを感知するためのマイクが搭載されており、これらを活用することでプレシスモグラフィーの機能を付加することができるという。

Googleが示した聴力プレシスモグラフィーの技術概要

 具体的には、イヤホンのスピーカーから低強度の超音波プローブ信号を送信し、その影響を受ける外耳道のわずかな皮膚の変位と心拍の振動をマイクで感知する。従来は脈波などの生体信号を感知しようとするさい、50Hz以下の低周波信号を使用することが多いが、民生用イヤホンではこの周波数帯はノイズキャンセリングの対象でカットされるため活用できない。超音波を活用するこの手法であれば、イヤホンに新たなハードウェアを付加する必要もなく、ローコストで脈波を計測可能だとする。また、光学式心拍センサー(PPG)では、肌の色の違いで測定精度の低下が起きるが、こうした課題も克服できるという。

30 kHzから32 kHzに及ぶカスタマイズされたマルチトーンAPG信号のミックスダウン振幅(上段)と位相(下段)。チャンネルダイバーシティにより、心臓の動きはいくつかの周波数(例えば、大きさは31kHz)でとらえられ、頭の動きは他の周波数(例えば、大きさは30kHz、30kHz、位相は31kHz)でとらえられる。
最終的なAPG信号(左)と胸部心電図信号(右)

 同社では153名の参加者を対象に2回のユーザーエクスペリエンス(UX)調査を実施した。その結果、APGは一貫して正確な心拍数(全活動シナリオにおける参加者全体の誤差の中央値3.21%)と心拍変動(拍間隔における誤差の中央値2.70%)の測定が測定できたという。また実験では、被験者に頭を降ってもらった際にその動きが計測できた周波数と、脈波を感知できた周波数がわずかに違うことを発見しており、イヤホン使用中に動いたりしても正確に計測できる可能性を示したほか、今後周波数ごとに様々な生体センシングができる可能性を示唆した。

論文リンク:APG: Audioplethysmography for Cardiac Monitoring in Hearables