保険適用の「がん遺伝子パネル検査」データ約2万件を研究者向けに公開 がんゲノム情報管理センター

 がんゲノム情報管理センター(C-CAT)は、保険適用となっている「がん遺伝子パネル検査」のこれまでの検査情報約2万件が参照できるポータルサイトの運用を10月より開始すると発表した。研究者は利用申請のうえ、許可されればがん種、遺伝子変化、薬剤名、治療効果などでデータを検索、参照できるようになる。

ゲノム検査の「RWD」を研究者が利用可能に ゲノム医療の進展に期待

 「がん遺伝子パネル検査」は、標準治療がないまたは局所進行または転移が認められ標準治療が終了となった固形がんの患者を対象に、2019年6月より保険適用されている。事業の中核を担っている国立がん研究センターのがんゲノム情報管理センター(C-CAT)には、現在まで200施設超のがんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院・がんゲノム医療連携病院から、2万例を超える遺伝子パネル検査と臨床経過等の情報が集積されているという。これらのデータは、公的医療保険が適用され、実際に治療に活かされた遺伝子検査データであるという意味で世界的にも類をみない貴重なデータであるといえる。

 今回C-CATは、これらのデータを検索・参照できる「利活用検索ポータル」を10月より運用開始する。利用したい研究者は所属施設の倫理審査と、C-CATの情報利活用審査の両方で認められれば、匿名化されたデータをがん種、遺伝子変化、薬剤名、治療効果などで検索を行い参照することが可能となる。

 C-CATではこのポータルを運用することで、遺伝子変化や治療への応答性などで日本人に特有の特徴を研究者が見出すことが可能となり、日本人に適した抗がん剤の臨床試験の促進や、新診断法、新治療法の開発も期待できるとしている。