日本人 5 万人分の全ゲノム情報の解析を完了、一部を公開 東北メディカルメガバンク機構
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)が、「官民共同10万人全ゲノム解析計画」に基づき、コホート調査に参加した約15万人のうち5万人分の全ゲノム解析を完了したと発表した。このうち3.8万人分にあたる解析データを、日本人全ゲノムリファレンスパネル「38KJPN」として公開した。
全ゲノムパネル「38KJPN」、HLA参照パネル「38KJPN-HLA」を公開
ToMMoでは従前から「東北メディカルメガバンク(TMM)計画」に基づいて、生体情報を収集するコホート調査を実施。昨年12月時点における累計で、DNA250,501検体、血漿69,442検体、血清73,967検体などを同意のもと収集している※1。「官民共同10万人全ゲノム解析計画」は、諸外国が大規模なゲノム解析計画を進行させている中で、日本人のゲノム解析を進め創薬や難病の治療法開発に寄与する目的で計画されたもの。解析対象のひとつにこのTMM計画のコホートが選定されており、解析を加速させるため2021年3月にはToMMoと製薬企業 5 社がコンソーシアムを設立。2021年12月には、約14,000 人分の解析結果の公表につなげている。今回の成果はこれに続くもので、約半年で2倍以上の解析が進んだことになる。
今回ToMMoは、解析が完了した5万人分の日本人全ゲノム情報のうち、頻度が偏らないよう血縁関係にないと推定される 3.8 万人を抽出、日本人全ゲノムリファレンスパネル「38KJPN」を構築した。昨年公開した「14KJPN」と比較すると、SNV※2・INDEL ※3(常染色体)の数ともに大幅に増えており、より多くのバリアントを収載できたとしている。また、HLA 遺伝子についてはSNVやINDELを対象とした解析方法では正確に遺伝子型推定を行うことが困難なため、「38KJPN」を構成する検体に対し HLA 遺伝子に特化した参照パネル「38KKPN-HLA」を作成した。X染色体およびミトコンドリアについては後日公開予定だが、今回公開されたパネルは以下より参照、ダウンロードが可能だ。
※1 第8回ゲノム協議会資料より https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/tyousakai/dai31/siryou1-2.pdf
※2 SNV : 一塩基バリアント。ゲノム配列において、ある領域で DNA の塩基配 列が個人間で一塩基のみ異なる多様性のこと。
※3 INDEL : ゲノム配列における塩基配列の挿入(insertion)または欠失 (deletion)のどちらかあるいは両方。