治療用アプリを展開するCureAppは27日、かねてより申請していた「高血圧治療用アプリ」の薬事承認申請が26日付で認められたと発表した。同社では年内にも保険適用申請を行いたいとしており、適用されれば単体の医療機器プログラムとして日本初となる見通しだ。
単体の医療機器プログラムとして日本初の承認、
高血圧治療用としては世界初
同社が開発を進めていた「高血圧治療用アプリ」は、血圧モニタリングと生活習慣ログから、食事、運動、睡眠等に関する知識や行動改善を働きかける情報を患者個人に最適化したかたちで提供することで行動変容を促し、生活習慣の修正をサポートするのが特徴。 医師側も患者状況を医師アプリにより確認でき、診療の質の向上が期待できるとしている。
今回薬事承認された同社の高血圧治療用アプリについては、自治医科大学と共同で進めた国内第III相の臨床試験の結果がすでに公表されている。治験調整医師は自治医科大付属病院 循環器内科の苅尾七臣教授。2019年12月に開始され、降圧薬による内服治療を受けていない本態性高血圧症の患者を対象に、「高血圧治療ガイドライン2019」に沿った生活習慣の修正のみを行う対照群と、ガイドラインに沿った生活習慣の修正に加え治療用アプリを使用する介入群の2群に分け比較検討を行なったもので、その結果、主要評価項目である「登録12週時時点における自由行動下血圧測定(ABPM)による24時間の収縮期血圧の平均値のベースラインからの変化量」において、介入群は対照群に比べ「−2.4 ㎜Hg」の有意な降圧効果を示している。この結果を提示された厚労省の専門部会は「成人の本態性高血圧症の治療補助」を使用目的とし、「高血圧治療ガイドラインに基づいた治療に加えて使用する」こととして薬事承認を了承していた。
なおアプリに関しては、「承認後 1年を経過するごとに、市販後の有効性に関する情報を収集し有効性が維持されていることを医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告すること」が承認条件として付帯された。今回、単体プログラム初の適用例であり、このアプリのために一般的名称「高血圧症治療補助プログラム」も新設されるとあって、有効性担保を目的に新たに課されたものとみられる。
今回の薬事承認を受け、同社代表取締役CEO兼医師の佐竹晃太氏は以下のコメントを発表した。
この度、ニコチン依存症に続き、高血圧症を対象としたDTxを誕生させることができました。多くの潜在患者を抱える高血圧症は管理・治療継続が難しい病気でありながら、生活習慣を根本から変えていかなくてはなりません。自覚症状が少ないうちは患者さんの危機感も薄く、根本的な原因解決となる行動変容継続は容易ではありません。医師の診察時の指導に加え、診療時間外の時間においてもアプリが患者さんをサポートすることにより、より根本的な部分へアプローチし正しい生活習慣へと導きます。医師にとっても、患者さんの治療空白期間の取り組みや生活習慣を把握でき、より個別化した質の高い医療の提供が可能となります。今後、日本でもDTxを用いたデジタル療法が医師と患者さんにとって治療選択肢のスタンダードとなるよう、他の疾患についても引き続き開発を行って参ります。