CureAppの高血圧治療用アプリ、専門部会が薬事承認了承 年内にも保険適用申請へ
治療用アプリを展開するCureAppは9日、かねてより申請していた「高血圧治療用アプリ」の薬事承認が厚生労働省の専門部会で了承されたと発表した。同社では年内にも保険適用申請を行いたいとしており、適用されれば単体の医療機器プログラムとして日本初となる見通しだ。
単体の医療機器プログラムとして日本初の承認、
高血圧治療用としては世界初
同社が開発を進めていた「高血圧治療用アプリ」は、血圧モニタリングと生活習慣ログから、食事、運動、睡眠等に関する知識や行動改善を働きかける情報を患者個人に最適化したかたちで提供することで行動変容を促し、生活習慣の修正をサポートするのが特徴。 医師側も患者状況を医師アプリにより確認でき、診療の質の向上が期待できるとしている。
今回薬事承認が了承された同社の高血圧治療用アプリについては、自治医科大学と共同で進めた国内第III相の臨床試験の結果がすでに公表されている。治験調整医師は自治医科大付属病院 循環器内科の苅尾七臣教授。2019年12月に開始され、降圧薬による内服治療を受けていない本態性高血圧症の患者を対象に、「高血圧治療ガイドライン2019」に沿った生活習慣の修正のみを行う対照群と、ガイドラインに沿った生活習慣の修正に加え治療用アプリを使用する介入群の2群に分け比較検討を行なったもので、その結果、主要評価項目である「登録12週時時点における自由行動下血圧測定(ABPM)による24時間の収縮期血圧の平均値のベースラインからの変化量」において、介入群は対照群に比べ「−2.4 ㎜Hg」の有意な降圧効果を示している。この結果をもって専門部会は「成人の本態性高血圧症の治療補助」を使用目的とし、「高血圧治療ガイドラインに基づいた治療に加えて使用する」こととして了承した。
なおアプリに関しては、「承認後 1年を経過するごとに、市販後の有効性に関する情報を収集し有効性が維持されていることを医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告すること」が承認条件として付帯された。今回、単体プログラム初の適用例であり、このアプリのために一般的名称「高血圧症治療補助プログラム」も新設されるとあって、有効性担保を目的に新たに課されたものとみられる。
薬事承認了承を受け会見した同社代表取締役社長の佐竹晃太医師は、同社アプリを活用するユースケースとして、薬物療法で十分な効果が得られない場合や、処方薬との相性が懸念される場合、処方薬を好まない場合をあげ、薬物療法を開始する前に活用することで症状を改善できたり、薬物療法を開始した後でも処方量を減らせる可能性を指摘した。同社は順調に経過すれば年内にも保険適用の申請を行いたいとしている。