CureApp、「治療用アプリ処方プラットフォーム」を医療機関へ提供開始 他社製アプリも参加可能

治療用アプリの事業展開を行う医療ベンチャー「CureApp」は23日、日本初の薬事承認を取得した自社のニコチン依存症治療用アプリだけでなく、今後上市が予想される他社の治療用アプリの処方も管理可能なシステムを開発、医療機関向けに提供を始めたと発表した。医療機関がワンストップで治療用アプリを管理できるプラットフォームとして、全国展開を視野に入れている。

佐竹CEO「社会インフラとしての普及を目指す」

同社が医療機関向けに提供を始めたのは「App Prescription Service(APS)」と呼称する管理用システム。APSはもともと同社が日本で初めて薬事承認を取得した「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー(CureApp SC)」を導入した医療機関が、その処方を管理するシステムだが、今後国内で登場する他社製も含めた治療用アプリの導入や処方・管理などもワンストップで行えるよう設計されている。

医療機関はCureApp社との契約が必要となるが、このシステムを使えば各アプリごとに契約や支払い、システムを導入する必要がなくなる。またこのシステムに登録できる他社製を含む治療用アプリは、一定のセキュリティ要件をクリアしたものに限る予定で、その点でも医療機関のリスク管理に貢献できるという。

またAPSは、今後参入を予定する他社に対してもプラットフォームとしてメリットを提供できるとしている。治療用アプリは処方にあたり物理的な流通チャネルが必要ないため、アプリを開発する医療ベンチャーは直接医療機関と契約できるビジネルモデルを持てるが、他方、実際に医療機関へアクセスできるコネクションを持っていないケースもある。そういった企業はAPSをプラットフォームとして活用すれば、個別に医療機関と契約交渉することなくアプリ導入への道を開拓できるという。また、Med IT Techの取材に答えた同社の佐竹晃太CEOは「まだ他社に提案する具体的なメニューを検討できているわけではないが、(既存の販促費用に比して)圧倒的なコストメリットはあると思う」と話し、費用面についても他社が参加しやすいものとする意向を示した。また他社アプリが参画した際も、関連するデータなどを保持する仕組みになっておらず、その点でも安心できるはずだとした。

導入は始まったばかりだが、すでに首都圏以外を含む数十の医療機関から引き合いがあり話を進めているという。佐竹CEOは「(APSを)デジタル治療流通のための社会インフラとして考えている」と市場開拓者としての意欲を見せている。なお、APSは現時点では初期コストおよび利用料無料で全機能を利用できる。