クライオ電子顕微鏡による創薬支援事業を展開するキュライオ(東京都)は、シリーズAラウンドとして約3.1億円の資金調達を第三者割当増資で実施したと発表した。同社は今回の資金調達で、クライオ電子顕微鏡による構造解析を活かした創薬事業をさらに加速させる。
ノーベル化学賞受賞の「クライオ電子顕微鏡法」を創薬へ応用するベンチャー
今回の第三者割当増資を引き受けたのは、Beyond Next Ventures2号投資事業有限責任組合、Ono Venture Investment, Inc.(小野薬品工業株式会社・企業ベンチャーキャピタル)、旭化成ファーマ株式会社、Gemseki投資事業有限責任組合。同社は「生化学を新しい時代に導いた」とされ、2017年にその開発者がノーベル科学賞を受賞した「クライオ電子顕微鏡法」を用いる装置を活用し、創薬事業を展開している。
クライオ電子顕微鏡法とは、急速に凍らせた試料を電子顕微鏡で観察する手法で、その構造を生体内に近い環境で原子レベルで把握でき、より多くのタンパク質の構造解析が可能となる画期的な手法とされる。従来までの創薬研究は、構造未解明のタンパク質に対し何百万個もの化合物評価を必要とするもので、時間もコストも膨大にかかる作業だった。クライオ電子顕微鏡を用いることで、従来の解析手法であったX線構造解析で困難だったタンパク質の多くが構造解析可能となり、確実に構造解析ができるタンパク質が増えるため、新たな創薬領域が大きく拡がっていくことが期待されている。
同社は今回の調達資金をパートナリング(共同研究創薬)事業、自社創薬事業の拡大、さらなる基盤技術の開発などに活用する予定。