87.9%が分散型治験(DCT)に好意的な回答 民間会社の意識調査

 民間の治験支援会社による調査で、コロナ禍を経て注目されているテクノロジーを活用した分散型治験(DCT)について、多くの方が前向きな印象を持っていることが明らかになった。概ね利便性向上に良い印象を持っている一方で、特にがん患者を中心に診察の質や機器トラブルなどについての不安があることも報告されている。

 調査を実施したのは、幅広く治験支援サービスを展開する3Hメディソリューション(東京都豊島区)。コロナ禍で注目され、今後も医療DXの一環として推進が求められる、デジタルテクノロジーを活用した分散型治験(Decentralized Clinical Trial=DCT)について、Webアンケートのかたちで一般に聞いた。回答者は1728名。

 まずDCTによって治験参加への影響があるか聞いたところ、87.9%が治験に参加しやすくなると回答した。参加しにくくなると答えたのはわずか1%で、DCTで通院の必要がなくなるもしくは減るというメリットが、治験参加のハードルを下げることが明らかに示された。

 続いて具体的なメリットを聞いたところ、「治験を受ける病院の場所を気にする必要が無くなる」72.3%(1,260名)、「自宅でリラックスして受けられる」58.6%(1,013名)、「仕事・学校を休む(休ませる)必要がない」55.7%(963名)、「新型コロナなどの感染リスクが減らせそう」54.1%(934名)といった回答が多く選択されていたほか、「症状などで通院が困難だったが参加できそう」という回答も17.0%(293名)あり、被験者不足の解消にもつながる可能性があるとしている。

 他方、DCTのリスクについて聞いたところ、最も多かった回答は「インターネットや機器のトラブルがあった時に対応できるか不安」35.9%(621名)となった。続いて「オンラインで診察することで診察の質が落ちないか不安」26.5%(468名)、「オンラインでのやりとりだけだと何か問題があった時に不安」22.3%(385名)との回答が続いた。同社ではトラブルがあった際のフォローや診療の質が求められており、こうした不安を解消する適切な説明や体制の整備が重要となるとしている。またこうした回答は特にがん患者に多かったという。調査の詳細なレポートは同社のWEBサイトからダウンロードできる。

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