14万枚超の胸部X線写真から、肺機能検査にほぼ匹敵する高精度AIを開発 大阪公立大

 日本の研究グループが、胸部X線写真から肺機能を高精度で推定可能な人工知能(AI)モデルを開発したと発表した。肺機能検査が実施困難な場合での活用や、検査の効率化へも期待できるとし、臨床応用に向けさらなる研究を加速させるとしている。

図 喘息や間質性肺疾患患者の胸部X線写真とその特徴マップ。赤が正常な領域、青が異常な領域を示す。

 研究成果を発表したのは、大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学の植田 大樹准教授、放射線診断学・IVR学の三木 幸雄教授らの研究グループ。国内の5施設から収集した14万枚を超える胸部X線写真を用い、ディープラーニングによるAIモデルを開発した。AIモデルの訓練・検証には3施設のデータを、外部テストには2施設のデータを使用した。

 性能評価には、肺機能検査の代表的な指標である努力性肺活量※1と1秒量※2を用い、AIモデルの推定値と実際の肺機能検査の測定値を比較した。その結果、いずれの指標においてもAIモデルは非常に高い推定精度を示したという。研究グループでは、この成果は認知症患者や小児など検査が困難な場合や、COVID-19などの感染症流行により検査が実施できない場合の代替検査法として活用が期待でき、また、胸部X線の撮影だけで肺機能も推定できるため、検査の効率化にもつながるとしている。

※1 努力性肺活量…最大限息を吸い込み、その後思い切り息を吐き出したときの空気量のこと。肺の大きさや弾性を反映する指標。
※2 1秒量…最大限息を吸い込んだ後、1秒間に吐き出すことのできる空気量のこと。気道の広さや呼気の勢いを反映する指標。

論文リンク:A deep learning-based model to estimate pulmonary function from chest x-rays: multi-institutional model development and validation study in Japan(The Lancet Digital Health)