2017年1月23日、東京海上日動火災保険株式会社は、医療機関などにおけるブロックチェーン技術活用に向けた実証事業を、福岡地域戦略推進協議会と連携して実施すると発表した。新しい決済自動化テクノロジーとして注目されるブロックチェーン技術を、秘匿性が求められる医療情報の改ざん防止の目的で活用した上で情報自体の暗号化を新たに行い、情報の安全性を高める日本で初の試みとなる。
ブロックチェーン技術+電子立国エストニアで実績ある暗号化技術を投入
ブロックチェーン技術は取引承認や決済確認の自動化を可能とする新しいテクノロジーとして注目を浴びているが、一方でそのプロセスを行なう情報自体の暗号化を行なう技術ではないことから、セキュリティ上の懸念が指摘されている。業務にて契約内容や医療情報といった、長期にわたり非常に高い秘匿性が求められる情報を取り扱う保険会社にとってはこの点が課題だった。今回の実証事業では、ブロックチェーン技術に加え、エストニアの国民番号制度をセキュリティ面で支えるPlanet Way社の暗号化技術「avenue-cross」を投入し課題解決に取り組む。
具体的には、福岡都市圏の成長戦略を自治体の枠を越え立案から執行まで主導するシンク&ドゥタンク「福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka Derective Council, FDC)」の協力を得て、福岡市域の医療機関と連携。傷害保険金請求書に記載の医療機関に対し、ブロックチェーンを通じ入通院期間などの医療情報の提供を要求し、データ連携基盤を通して受け取る。医療情報に対するセキュリティを確保しつつ、保険金支払業務簡略化、 迅速化が可能かを検証する。検証結果を踏まえ本格的な導入を目指し、事務プロセスの革新的効率化と顧客への迅速な保険金支払いを実現していく、としている。
なおMed IT Techでは、九州の医療ICTイノベーションを取り上げる連載企画『風は、西から吹く』の中で、福岡地域戦略推進協議会について取材している。地域振興を推進するモデル事例としても取り上げられるこの団体が、福岡都市圏をこれからどう導こうとしているのか、今後も注目したい。