ヒトの細胞で心臓の一部をバイオ3Dプリント、100日以上の自発的拍動を確認 独研究機関

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Source and Image Credits: Tilman U. Esser, Annalise Anspach, Katrin A. Muenzebrock, Delf Kah, Stefan Schrufer, Joachim Schenk, Katrin G. Heinze, Dirk W. Schubert, Ben Fabry, Felix B. Engel.

 日本を含めた各国の研究機関で、細胞や生体材料で人体組織を「3Dプリンティング」する研究が進んでいるが、このほどドイツの研究機関が心室を模した組織を3Dプリンティングし、自発的な拍動が100日以上継続したと発表した。拍動させるところまで実証した研究は世界初とみられる。

心筋細胞にコラーゲンタンパク質などをまぜた「バイオインク」をプリント

a、コラーゲンベースのバイオインクと熱応答性微粒子支持浴を使用したゲル内バイオプリンティングアプローチを示すスキーム。b、複合コアセルベーションによって生成されたゼラチン/アラビアガム微粒子の代表的な位相コントラスト画像。c、微粒子のサイズ分布 (n = 14 081)。赤い点線: フェレの平均直径。d、印刷後およびその後15分間、圧縮された微粒子に印刷された赤い食用色素の画像。e、振動振幅掃引にわたる微粒子支持浴の貯蔵弾性率および損失弾性率および振動応力(ひずみ:0.01〜1000%、角周波数:10rad/s;n=3)。f、振動周波数スイープ (角周波数: 0.1 ~ 100 rad/s、ひずみ: 1%、n = 3) にわたる微粒子支持浴の貯蔵弾性率と損失弾性率および複素粘度 η の値。g 、回転レオロジー測定における微粒子支持浴の交互せん断速度(0.1 s -1 対10、100、または 1000 s -1 )における粘度回復挙動(n = 3)。

 査読前論文ではあるが、注目すべき成果を「bioRxiv」に発表したのは、ドイツのフリードリッヒ・アレクサンダー大学のフェリックス・エンゲル教授らの研究チーム。研究チームでは、心筋細胞にコラーゲンタンパク質とヒアルロン酸を混ぜた「バイオインク」を調製し、ゲルの中に3Dプリンタからバイオインクを注入、心室を模した高さ14mm、直径8mmの風船状の組織を「プリント」した。実際の心室の6分の1程度の大きさだ。この後、ゲルを取り除き組織だけを残したところ、プリントしてから1週間後から拍動し始め、100日以上継続したことを確認した。

心室の 3Dモデルと、印刷された心室の代表的な暗視野画像。b、c、42日目( b )と30日目( c )の2つの印刷された心室の収縮の視覚化。左: 非収縮および収縮した印刷された心室の代表的な個々の暗視野画像。中央: マージされた疑似カラー画像 (非収縮: 緑色、収縮: マ​​ゼンタ)。右: 垂直軸 (黄色の点線) に沿ったカイモグラフ分析。d、フェニレフリンによる治療の前後30日目の印刷された心室の収縮頻度(PE、50μM; n = 8; *: p < 0.05、対応のあるt検定)。e,f、詳細図 (共焦点、e)および100日目のプリントされた心室全体のZスタックの最大強度投影の概要。LSFM( f)で取得された概要画像の場合、サンプルは光学的に透明になりました。サルコメアタンパク質: α-アクチニンおよび心筋トロポニン I (cTnI)。

ちなみに拍動ペースは毎分27.8±6.0から41.3±3.5で、薬剤で拍動ペースを前後できる可能性も示したという。研究チームでは、今回開発した「バイオインク」は心筋細胞だけでなく線維芽細胞や血管細胞などを使ったものにも応用が可能としており、健康な心臓モデルだけでなく、病気の心臓モデルもプリントできる可能性もあるとしている。

論文リンク:Direct 3D-bioprinting of hiPSC-derived cardiomyocytes to generate functional cardiac tissues(bioRxiv)

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