岡山大学、早期胃がん診断支援AIを開発 粘膜下層浸潤がん診断精度85.3%

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 岡山大学とシステム会社の研究チームが、課題となっている早期胃がんの深達度診断に寄与しうるAIを開発した。治療においては深達度が治療法や術式を選択する根拠となるだけに、研究チームではさらなる精度の向上、実用化に向け研究を続けるとしている。

AIによるリアルタイム診断も視野に研究を継続

 研究成果を発表したのは、岡山大学学術研究院医歯薬学域の河原祥朗教授、濱田健太助教(実践地域内視鏡学)、ヘルスシステム統合科学学域の相田敏明講師、両備システムズからなる研究グループ。早期胃がんの治療法選択には、内視鏡検査などによる病変の正確な深達度診断が必要だが、施行医の診断能により本来の適応でない治療法が選択されることもある。研究チームではこれは患者にとって不必要な侵襲を強いる可能性があると指摘しており、深達度診断における正診率向上を目的に、同大学病院のデータを活用し、両備システムズと共同でAI システムのプロトタイプを構築した。

 今回、このプロトタイプを早期胃がん患者200例に対して検証したところ、粘膜内癌の診断精度については感度 84.9%、特異度 70.7%、正診率 78.9%だった。また、粘膜下層浸潤癌の診断精度については感度 85.3%、特異度 82.4%、正診率 83.8%の結果が得られたという。

 研究チームでは、今回開発したプロトタイプを改良し内視鏡機器に付加すればリアルタイムで内視鏡自動診断が可能になり、その結果、検診段階における疾患発見数の著しい上昇や早期がんの自動診断による適切な治療法の決定などが期待できるとしており、今後さらなる精度の向上、システムの実用化を目指して研究を継続する。なお研究成果は専門誌「Journal of gastroenterology and hepatology」に10月28日付で掲載されている。

論文リンク: Application of convolutional neural networks for evaluating the depth of invasion of early gastriccancer based on endoscopic images(Journal of gastroenterology and hepatology)

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Posted by medit-tech-admin