マーケティング支援事業を展開するネオマーケティング(東京都)が、全国の20歳以上の男女を対象に「オンライン診療」をテーマとしたインターネットリサーチを実施、その結果を公表した。認知度は高いものの、まだ普及しているとはいえない実態が明らかになった。
利用した人も含めての認知度は88.3%
今回同社がアンケートの対象者としたのは、全国の20歳以上で、直近5年以内に病院を利用したことがある男女。まず「オンライン診療」について知っているか聞いたところ、利用したことがある人も含めての認知度は88.3%だった。うち、知ってはいるものの利用したことがない人は79.9%にのぼり、オンライン診療は知られてはいるものの、ほとんどの人が利用したことがないことが明らかになった。
利用したことがない人にその理由を聞いたところ「よく知らないため」が36.0%、続いて「医師と直接会話できず不安」「触診や検査ができないこと」が22.4%で続いた。対面診療と違い、オンライン診療では現在のところ問診とカメラで映せる範囲の視診しかできないため、その点に不安を感じているようだ。また「よく知らないため」については、さまざまな事業者がアプリ等でサービスを展開しているものの、事業者ごとに手順が多少違ってくることなども影響していると思われる。待ち時間等の問題はあるものの、対面診療なら医療機関に行けば良いというシンプルさがあるだけに、事業者にはよりわかりやすい手順の広報が求められているといえるだろう。
利用した理由は「感染症診療のため」と「待ち時間回避」
他方、利用したことがある人にその理由を聞いたところ、トップは「感染症による対面診療の制限のため」で26.6%。続いて「対面診療の待ち時間を避けたかったため」22.8%となった。それとほぼ同等の割合だったのが「医療機関に行くのが困難な症状」20.8%、「症状が軽く対面診療の必要性を感じなかった」19.0%だった。コロナ禍に引き続いて、オンライン診療の感染症診療との親和性と、予約を必須とすることから待ち時間がなくなるメリットが示された。アンケートを実施したネオマーケティング社では「待ち時間回避のほか、皮膚科や耳鼻科系の持病があり、自身である程度必要な薬がわかっているため素早く診察を済ませようとオンライン診療を使うケースもありそう」と見解を示している。
利用者が感じているデメリットは
利用したことがある人に対しデメリットと感じることを聞いた設問では、「触診や細かい検査を受けられなかった」が19.4%でトップ、続いて「診療費用が高いと感じた」「薬の受け取りや処方箋の発行が不便だった」点が続いている。オンライン診療の場合、通信費用、配送費等を選定療養費として上乗せ請求されること、メールで「電子処方箋」を発行する医院が多いこと、院内処方の場合は薬の発送が最短でも1〜2日程度かかるということが懸念されているとみられる。
事業者選定において重視されるのは「アプリの使いやすさ」「費用」「診療のスムーズさ」
オンライン診療を提供している事業者(医院含む)を剪定するにおいて重視する点を聞いたところ、「サービスやアプリの使いやすさ」「診療費用」「診療時間や予約の柔軟性」「待ち時間の短さ」が同じような割合で選ばれている。オンライン診療のメリットとして打ち出しやすいポイントのほか、奇しくもデメリットとしてもあげられた診療費用についてと、使いやすさの可否が指摘されている。
自由記述で改善点や期待したい点を聞いたところ、改善点としては対応可能な病院の充実、夜間休日対応の拡大、電子処方箋対応の薬局の増加があげられた一方、AIやカメラなどを使った診断精度の向上など、AIを利用した新たなサービスへの期待もあがっている。
【調査概要】
調査方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査対象:全国の20歳以上の男女で、直近5年以内に病院を利用した人
有効回答数:1,000名
調査実施日:2024年11月8日(金)~2024年11月11日(月)