遺伝子変異の病原性推定根拠を説明できるAIシステム 富士通と京都大学が開発

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 富士通と京都大学 大学院医学研究科の奥野恭史教授らの研究グループは、特定の遺伝子変異が何らかの疾患の原因になる可能性(病原性)の有無を推定し、さらに推定根拠を示すことで治療方針の決定を支援するAIシステムを開発したと発表した。4月より稼働する。

 

 システムを開発したのは、富士通と京都大学大学院医学研究科の奥野恭史教授らの研究グループ。ゲノム医療では、患者の個々の遺伝子変異の病原性有無を知ることが重要だが、膨大な遺伝子変異のうち疾患への関連性が明らかになっている変異はごく一部にすぎず、病原性の有無が未知の遺伝子変異からは治療に役立つ情報を得られていないことが課題となっている。富士通と京都大学は、2016年11月より日本医療研究開発機構が推進する「臨床ゲノム情報統合データベース整備事業」に参画し、医療従事者や研究者による遺伝子変異の検討作業をAIで支援するための研究開発に取り組んできており、今回、未知の遺伝子変異の病原性有無を推定でき、かつ推定根拠を説明することができるAIを活用したシステム「MGeND Intelligence」を開発した。

 「MGeND Intelligence」は、遺伝子変異の病原性の有無を高精度に推定できる「病原性推定AI」、推定根拠を示す「説明可能AI」、関連する論文記載の検索を支援する「文献探索支援AI」から構成される。京都大学が2018年に公開した臨床ゲノム情報統合データベース「MGeND」と連携し、病原性の有無が未知の変異も含めて医療従事者や研究者による遺伝子変異の調査・臨床的解釈の作業を支援する。

 機能としてはまず、患者の遺伝子変異情報を「MGeND Intelligence」に入力すると、機械学習技術を活用した病原性推定AIにより病原性有無を推定し、説明可能AIにより推定結果とともに推定の根拠が説明される。また、変異に関連する公共データベースの情報やAIによる推定の確からしさを、周辺変異の情報とともに多角的に可視化して表示することや、自然言語処理技術を活用した文献探索支援AIにより、対象変異に関連する論文を探し記載箇所を特定して表示することができる。医療従事者や研究者が自ら推定結果の根拠を収集することも可能だ。

 富士通では、今回の成果をもとに説明機能のさらなる充実を図り、電子カルテを主とした病院情報システムにおけるゲノム医療を支援する機能を新規開発するとしている。京都大学は共同研究者や協力機関などに対して同システムの提供を4月より開始する。

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