米食品医薬品局(FDA)は15日、注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療を目的としたゲームを初めて承認した。デジタルデバイスやソフトウェアを治療手段として認める「デジタル・セラピューティクス(digital therapeutics = DTx)の米国内初の実用化になるか注目される。
臨床試験では8~12歳のADHD児の注意機能を有意に改善
今回承認されたのはAkili Intaractive社が開発した「EndeaverRX」。ホバーボードに乗ったキャラクターを操作し、障害物を避けながら、画面に現れる特定の標的だけにタッチするなど、感覚刺激と運動刺激を同時に与えることで注意力改善を促すプログラムだ。このソフトは臨床試験の最終段階であるランダム比較試験(LANCETに掲載)で、ADHDの評価スコア(TOVA API)において有意に改善させる効果が認められたという。具体的にはランダムに割り当てられた8-12歳のADHD児348人に1日あたり25分、1週間あたり5日ゲームをプレイし続けてもらい、4週間後に効果を検証したところ、少なくとも1/3の患者に効果が見られたという。Akili社では今後スマートフォン・タブレット向けアプリとして数カ月以内にリリースする予定だが、米国メディアの取材に対して予定価格を明らかにしなかった。いずれかの時点で保険会社の適用を目指すとしている。
なお日本の塩野義製薬は2019年3月にAkili社と提携しており、日本における独占的な開発権と販売権を保有。現在、国内でADHDを対象としたフェーズIIの臨床試験を実施中となっている。