FRONTEO、医学論文探索AI「KIBIT Amanogawa」を大幅アップデート 出現頻度2回以上の単語から解析可能に

 FRONTEO(東京)は、サービス提供中の医学論文探索AI「KIBIT Amanogawa(キビットアマノガワ)」のアルゴリズムを改良し、探索網羅性を大幅に向上させたと発表した。出現頻度の少ない単語も検索できるようになり、枯渇している創薬シーズの発見を支援するという。

図1:ヒトの各遺伝子について、縦軸を疾患との関連性が報告されている論文数、横軸を遺伝子としてプロットした図1) 。論文数が1000報以上である「ultra major genes」は、全遺伝子のうちごく一部(グラフの左端)にとどまり、論文数が100報未満の「minor genes」「ultra minor genes」が8割以上を占めるなど、大部分の遺伝子が依然として十分に研究されていない状況が示されている

 同社が提供するKIBIT Amanogawaは、医薬品研究開発に必要となる論文探索と仮説生成を効率的・高精度に行うことを目的に開発した医学論文探索AIシステム。単語や文章、仮説を入力すると、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」が、PubMedに掲載されている3000万報以上の論文データの中から、研究者の求める情報への類似性・関連性の高い論文を即時に検出・解析・提示する。これらの作業が大幅に効率化されることに加え、自然言語処理技術(日米特許取得)を用いて単語や文章を数値化し、概念を仮想的に足し引きする機能により、研究者は新たな着想を得たり、キーワード検索では発見できなかった情報や、既存の知識によるバイアスの掛からない情報を客観的・網羅的に発見することが可能となるという。

 今回のアップデートでは、従来では出現頻度100回以上の単語が即時解消の対象であったものを、出現頻度2回以上にまで引き下げた。これにより研究者はより広範囲に新たな知見を取得することができ、First-in-Class 創薬に向けた仮説生成の加速が期待できるとしている。また、計算負荷の最適化により応答時間は従来版と同等で、網羅性と速度の両立を実現した。

 創薬研究の現場では、起点となる標的分子の「枯渇」が深刻化している。近年の調査では、創薬関連研究の対象がすでに多くの論文発表をされている既知の遺伝子(Ultra-major genes)に集中し、潜在的に有望である未知の遺伝子は、ほぼ手つかずのまま残されていることが示されている(図1)。今回のアップデートにより 低頻度語を含む未知遺伝子群を漏れなく解析することが可能になり、創薬研究者が新たな気づきと着想を得ることを支援できるとしている。