共和薬品工業とFRONTEO、AIを活用した認知症診断支援システムで事業提携

 共和薬品工業とFRONTEOは認知症診断支援システムに関する事業提携を発表した。FRONTEO社独自の自然言語解析AIを活用し、患者と医師との短時間の会話から、認知機能障害の有無や重症度を判定することが期待されているという。今回の同意を契機に、国内初の薬事承認を目指す。

AMED採択プロジェクトがベース

慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室​「PROMPT」ページより

 FRONTEO社が開発を進めている認知症診断支援システムは、同社も共同研究者として名を連ねるAMED(日本医療研究開発機構)採択の研究プロジェクトの成果をベースにしたもの。研究代表者は慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室専任講師の岸本泰士郎氏。このプロジェクトでは、ともすれば客観性に乏しい精神疾患の症状評価を、テクノロジーを活用し定量化・可視化することで、診断・治療の質を高める可能性を追求している。具体的には、診察時に患者の表情・音声・体動などをパートナー企業の協力で解析する技術を研究開発するもので、あくまで診察室内で、医師の通常の診療行為、自由会話の内容を対象とする。FRONTEOはプロジェクトの中で、テキスト化された会話内容を独自技術で解析、認知症の可能性を定量表示できるかという課題に取り組んでおり、AMED支援期間終了時の報告では高い評価を得たという。

 この技術の特徴は、既存の診断法と比べ短時間・低負担で行え、客観的な診断を可能にする点。認知症患者が2030年には人口の20%を越えると推計される情勢のなか、医師と患者双方にとって負担軽減になると同時に、診療の質・効率向上に寄与するものとして期待されている。同研究は当初から実用化を念頭に置いており、FRONTEO社の解析技術は特許を取得済みで、共和薬品とFRONTEOはこの技術と研究成果の薬事承認を目指すことになる。

厚労省資料 認知症の人の将来推計について