40HzのLED光の定期的照射で「アルツハイマー病の原因物質を減少させる」アプリが米で登場

 米国で、国立の研究機関が近年発見したアルツハイマー病の原因物質に対する有効なアプローチ手法を活用するスマートフォン向けアプリが登場した。ベンチャー企業が開発したもので、毎日1時間に使用で効果が期待できるという。

米国NIHなどの研究成果を応用したアプリ

 米国で2021年5月4日付でリリースされたのは、米GDI社が開発した「GammmaBoost®️」。使用方法は簡単で、アプリを立ち上げて画面のスタートボタンを押すと、40Hzの周波数、つまり毎秒40回点滅する光が継続的にフラッシュする。光を直視する必要はなく(むしろ推奨されない)、視野に入るようにながら作業をしながらでも1時間程度過ごせばよいというものだ。時間が経過すると自動的に発光は終了する仕組み。対象はアルツハイマー病の発症リスクが高まる50歳以上で、毎日の使用が推奨されている。

 この「40Hzの周波数の光の点滅」は、NIH(アメリカ国立衛生研究所)などが近年発見した「ガンマ脳波」に関する知見を応用したもの。アルツハイマー病は脳内のアミロイドベータと呼ばれるタンパク質が排出されなくなり、脳内に蓄積することで発症することが世界中の研究で強く示唆されているが、アルツハイマー病患者の脳では、健常の人と比べて約30〜100 Hzのガンマ脳波の活動が衰えていることも知られている。NIHでは2019年、マウスモデルでの実験で、40Hzの光を一定時間照射し続けることで脳内のアミロイドベータが減少するだけでなく、それを排出する働きを持つミクログリアを活性化させることも発見した。この発見は大きな反響を呼んでおり、知見を基にした新たな医療機器の開発も進んでいる

「GammmaBoost®️」は米国ではすでにiOS版がリリースされており、まもなくAndroid版も販売開始となる予定だ。