ゲノム編集による双子誕生と主張する研究者、国際会議登壇も真偽分からず

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自らが解説したYoutubeチャンネルの動画で研究の意義を語る賀建奎氏
自らが解説したYoutubeチャンネルの動画で研究の意義を語る賀建奎氏

2018年11月28日、今週に入り、ゲノム編集で遺伝子操作した双子を誕生させたと主張し議論の的になった研究者が、香港で開催中の国際会議に登壇した。しかし研究内容の詳細を明かさず、真偽は不明のままだった。

「1例目はすでに生まれ、2例目は妊娠初期」と主張

27日より香港で開催されている第2回ヒトゲノム編集に関する国際会議に登壇したのは、中国・南方科技大学の賀建奎(ハー・ジエンクイ)准教授。研究について概要を語ったものの、今週初めに一部通信社、中国メディアや、自ら開設したYoutubeチャンネルで語った内容と大差なく、論文やデータの提示もなかった。しかし1例目の双子はすでに無事に生まれ、胎盤などの遺伝情報を解析したところ目立った異常がないことを確認したことや、2例目も妊娠初期であることを語るなど自身の研究成果を強調した。

会場からは論文もデータ提示もないことや、倫理的な問題点についての質問が相次いだが、賀氏はこれに直接答えず、「この技術を活用しなければ多くの人を救えない」と主張。被験者であるカップルの同意取得プロセスについても、本人たちにリスクを伝え、また米国の複数の専門家の助言を得たと語ったが、その専門家の名前は明かさなかった。

中国政府幹部「出産が確認され次第、研究者を処分」

今週初めの報道当初から、各国の研究者、および所属の南方科技大学、さらに中国政府からも批判を浴びている賀氏だが、管轄する中国科学技術省幹部は27日、中国メディアの取材に新たに答え、「事実なら違法であり、出産が確認され次第、関連法に基づいて処分する」と指摘した。

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