Google Cloud は17日、8月に米国向けに公開したオープンデータの解析に基づく新型コロナウイルス感染予測サイトの日本版を公開した。予測開始日から28日後までの陽性者数や死亡者数等の予測値を表示するもので、医療機関や公的機関が今後の対策を立案するためのツールとして役立ててほしいとしている。
米国版と比べ予測期間を拡張、28日後までを予測
この予測サイトの公開は米国向けに続いて2ヵ国目。米国版ではジョンズ ホプキンス大学、Descartes Lab、米国国勢調査局などが一般公開している疫学的データを時系列の予測を扱う機械学習のアプローチで解析し、将来14日間における米国内の陽性者数や死亡者数などを予測しているが、日本版では新たに解析対象データセットの追加、95%予測区間の採用や予測精度の改善を行い、28日後まで予測対象期間を拡張した。なお解析対象とするデータを日本の各機関が発表しているデータのみに変更した上で、AIが出力した予測値と実際の統計を照らし合わせ、米国版より精度が向上していることを確認しているという。
2020年11月24日現在表示されている各都道府県の予測数(クリックで拡大します)
また、全国の予測値は都道府県の予測値を足し合わせたもので、あわせて都道府県別の予測も個別に見られるようになっており、閲覧だけでなく、生データをGoogle Cloud上(BigQuery)やCSVで取得できる。
日本版の開発には、モデルの設計及び予測データの検証において慶應義塾大学 医療政策・管理学教室 教授の宮田裕章氏と研究室が監修として関わっている。宮田氏は自身のSNSで「未来はこうあるべきという予言ではなく、あくまでも望ましい未来を選択するためのツールです。現状の対策のままで迎える未来に何が起こるのか?データによって可能性を可視化し、それが望ましくない場合には、未来を変える手がかりにして頂ければと思います」とコメントしている。Googleもその発表の中で、医療機関における医療資材やスタッフ、スケジュール等のリソースプラニングや、検査実施計画の立案、感染拡大の兆候が見られる地域の早期発見等に活用できるのではとしている。