アプリを活用した糖尿病重症化予防プログラムの実証実験、HbA1cと平均BMIの数値好転 大阪府阪南市

 専門家の個別指導が受けられる健康アプリ「カロママ プラス」を展開するリンクアンドコミュニケーションが、大阪府阪南市で2型糖尿病患者を対象として実施していた重症化予防プログラムの検証結果を公表した。指標であるHbA1cと平均BMIにおいて有意な改善がみられたとし、この結果をもって、同社はこのアプリを活用した重症化予防事業を実用化した。

アプリによる生活習慣指導+管理栄養士による面談+1日1食の糖尿病食の弁当による提供

 透析導入の原因疾患として最も頻度が高いのが糖尿病性腎症だが、透析には年間1人あたり約500万円の追加医療費が必要となり、国民健康保険の大きな財政負担となっている。糖尿病の発症および重症化の予防には生活習慣の改善が重要だが、専門家の人手不足や新型コロナ対策などで医療現場には恒常的に負担がかかっており、最適なリソース投下にはICTを含めた新たな技術導入による最適化が必須だ。このような背景から、「健康管理アプリとオンライン保健指導による継続的な人的資源の代替えが可能か」「宅配糖尿病食での食育がプログラムとして運用可能か」の2点を検証する目的で、実証が行われた。

実施内容

 ・対象:大阪府阪南市住民または市内勤務の2型糖尿病患者
・プログラム内容:
 1.アプリ「カロママ プラス」の提供
 2.オンラインでの管理栄養士との面談・チャット支援 
 3.ヘルシー弁当の提供

HbA1cと平均BMI、ともに改善

 3ヵ月にわたってプログラムを実施した結果、指標であるHbA1cにおいては、プログラム実施前後共に数値回収ができた6名のうち、4名が改善。全員が合併症予防を目指す際の目標数値(6.0-6.9)に達し、合併症高リスク者が0になった。体重変化とBMIについても、プログラム実施前後共に数値回収ができた8名のうち、6名が減量に成功。平均減量値は-2.2kg、平均BMIは24.9から24.2に減少した。主要評価項目ではないが、プログラム終了後のアンケートなどでは「血糖値が改善した」との声や、75%の参加者が生活習慣が改善されたと答えるなど、定量的かつ定性的に、生活習慣の改善に貢献できたとした。

 同社はこの結果を踏まえ、このアプリを活用した「糖尿病予防プログラム」を実用化する。具体的には協力事業者とともに、今回効果検証した「アプリによる健康指導」+「弁当による健康食提供」を組み合わせたプログラムを、自治体と医療機関向けに提供するという。