新たな線虫をゲノム編集で開発、早期すい臓がんを高精度に検出可能と発表 2022年半ばには実用化へ
線虫の特性を活かした尿によるがん検査サービスを展開するHIROTSUバイオサイエンス(東京都)は、ゲノム編集で新たに早期を含むすい臓がんを高精度に特定できる線虫を開発したと発表した。現在提供している検査サービスのシステムを利用し、2022年後半よりも早い時期での実用化を目指すとしている。
ゲノム編集で「すい臓がんの匂い」から逃げる特殊線虫を開発
2016年創業の同社は、線虫の嗅覚嗜好を専門的に研究する生物学者(理学博士)である広津崇亮氏が、自身の研究成果を実用化するため起業したスタートアップ。研究成果である「ある種の線虫は健常者の尿の匂いを避け、がん患者の尿の匂いを好み近づく」という発見を実用化した尿によるがん検査サービス「N-NOSE」を展開している。同社ではこのサービスは15の部位のがん種について、部位の特定はできないが、感度86.3%で検出が可能としている※1。
今回同社が発表したのは、この成果をベースに新たにゲノム編集で独自開発した特殊線虫が、早期も含め「すい臓がん」と特定するかたちで高精度に検出できたという内容。検討に十分な症例数において、感度100%(22/22)、特異度91.3%(42/46)と高精度に他のがん種と見分けることが分かったという※2。同社ではこの特殊線虫による新たな検査サービスの実用化について、「N-NOSE」と同じ検査システムを活用することで、基礎検討・臨床研究の結果を受けてからすぐの実用化が可能だとし、2022年後半よりも早い時期での実用化を目指すとしている。
※1 海外研究機関による追試も含めた研究論文は同社のウェブサイトで参照可能
※2 すい臓がんと他の5がん種(胃、大腸、肺、乳、子宮)のがん患者検体で比較。