日立製作所は,米国のユタ大学(University of Utah,President:David W. Pershing)が有する糖尿病患者の電子カルテデータを機械学習を活用して解析し、糖尿病治療薬の効果を予測・比較する技術を開発したと発表した。成果の一部は,2017年11月6日(月)〜8日(水)に米国・ベセスダで開催される「IEEE-NIH Special Topic Conference on Healthcare Innovation and Point-of-Care Technologies」で発表予定。
HbA1c値を低減できる確率を「患者ごと」「薬の種類ごと」に予測可能
今回日立製作所は、ユタ大学の協力のもと、ユタ大学が有する匿名化された約9,000症例の糖尿病患者の電子カルテデータのうち、約6,800症例のデータを元に、薬の種類・量・投与期間・体重・検査値の推移などをユタ大学の医師・薬剤師と日立製作所が培ってきた知見を活用して時系列的に解析した。その結果得られたさまざまな情報を機械学習の技術を用い分析することで、HbA1c値を低減できる確率を「患者ごと」「薬の種類ごと」に予測可能なモデルを構築したという。このモデルを、ユタ大学の持つ残りの約2,200症例の糖尿病患者データに適用してシミュレーションしたところ,米国において標準的な通院間隔である投薬開始90日後の糖尿病の治療結果を、AUC0.85※の精度で予測できることを確認した。
※AUC
ROC曲線を作成した時、グラフの曲線より下の部分の面積をAUC(Area Under the Curve)と言う。AUCは0から1までの値をとり、値が1に近いほど判別能が高いことを示す。判別能がランダムであるときAUC = 0.5となる。一般的には0.7以上が望ましいとされる。