「尿でがん早期診断」を目指すIcariaが数億円の資金調達

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尿検査による「無痛・高精度・早期」のがん診断技術の実用化を目指すベンチャー企業Icariaが、数億円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。注目の生体分子「マイクロRNA」を独自の技術で高効率・大量に収集できる技術を持っており、2020年頃実用化を目指すという。

マイクロRNAを高効率・大量収集可能な技術を独自開発

Icariaは名古屋大学発のベンチャーで2018年5月創業。近年の研究で遺伝子の発現の調整など、がんをはじめとする様々な疾患の発症や進展と関係していることが明らかとなっている「マイクロRNA」に着目した、尿検査によるがん診断技術の確立を目指している。

マイクロRNAは血液や尿に含まれ、約2,500種存在することが知られているが、これを活用した検査の精度を高めるためには、多くの種類を収集しなければならないとされている。しかし現行の技術では200~300種類程度しか収集することができないという問題点があり、より高効率でのマイクロRNAを収集できる技術が望まれている。

Icariaではこの問題を解決する「ナノワイヤ」と呼ばれる微細な剣山のようなものを生成させたデバイスを独自開発。この流路に1mLの尿を通すことで、一度に1,300種類以上のマイクロRNAを収集することに成功した。 さらに、同社の持つマイクロRNAデータベースと機械学習技術を組み合わせた独自のがん診断プログラムの開発を行っており、高い精度で尿を用いた肺がんの有無の判定に成功しているという。 この中にはステージI・IIの患者も含まれており、 がんの早期発見にも期待が持てる結果が得られているとしている。

「健康医療ベンチャー大賞」社会人部門優勝、NEDO支援事業にも採択

同社は2018年12月2日に開催された慶応義塾大学医学部主催の「健康医療ベンチャー大賞」社会人部門で優勝を飾り、次いで2019年1月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援事業「研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援」にも採択された。今回、こちらで助成される金額、さらに独立系ベンチャーキャピタルのANRIとJSTを引受先とした第三者割当増資で、総額数億円前半の資金調達を実施した。同社はこれらの資金を活用し、尿検査による「無痛・高精度・早期」がん診断技術の実用化を目指す。当面はよい結果が得られている肺がん検査の高精度化を目指すが、将来的には、1mLの尿から複数のがん種を診断できるサービスを展開したいという。

 

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