造影剤なしで血流の解析可能な日本発、世界初のソフトウェアが米FDAの承認獲得

 造影剤を必要とせず、Cine MRIの画像をもとに心臓拍動や血流の動態を確認・解析できる日本製のソフトウェアがFDA(米食品医薬品局)から510K クラスⅡの医療機器として承認された。開発したのは日本の医師2人が設立したスタートアップで、血流の解析による定量化で、心臓病予防や心臓手術設計が簡単に実施できる世界を目指すとしている。

医師が自身のPCで血流の可視化と血流の解析が可能なソフトウェア

 今回承認されたソフトウェア「iTFlow®」は、MRIデータをもとに心臓や大動脈に流れる血液を4Dで可視化し、血流量や速度、血液粒子の軌跡(パスライン)、流線など様々な指標を定量的に評価することができる。造影剤を使わずに心臓拍動を追跡しながら解析ができる世界で初めてのソフトウェアだとしている。このソフトウェアを活用することで、医師が心臓疾患を血流から診断したり、血流を診て手術計画を立てることができるようになるという。

 同ソフトウェアを東京大学医学部在学中から考案し、同領域の医師とともに「株式会社Cardio Flow Design」を創業したのは、成人先天性心臓病を専門とする板谷慶一医師。「これまで経験に頼ることが多かった複雑な先天性心疾患の術前に、血流を定量評価することによって、医師の経験症例数にかかわらず、すべての医師が最適な治療を提案することができる」としており、今後は解析だけでなくAI(人工知能)による解析も目指していくという。