日本の胸部CT画像を元に新型コロナの診断支援AIを開発、精度83.3%達成 名古屋大ら
名古屋大学をはじめとする研究グループは、国立情報学研究所などと共同で、新型コロナウイルス(COVID-19)肺炎CT画像をAIによって解析する手法を開発したと発表した。精度は83.3%としていて、現在主に診断に使われているPCR検査よりも感度は高いとしている。
AMED支援、関連学会も関わる医用画像収集プラットフォームがAI開発に貢献
名古屋大学をはじめとする研究グループは今回、日本医学放射線学会、国立情報学研究所、関連する臨床学会が中心となって運用する「医療ビッグデータ利活用を促進するクラウド基盤」を活用し症例画像を収集。ニューラルネットワークやクラスタリングなどの手法を用いて診断アルゴリズムを構築し、以下を実現できたという。
- 炎症により肺領域の境界の識別が難しい症例でもAIが的確に識別する手法 (図1)
- 肺領域内部の領域を障害の程度に応じて3つの領域に自動分類 (図2)
- 胸部CT画像のCOVID-19肺炎典型度をAIが的確に判断
特に3番目の「肺炎典型度※」においては83.3%程度を達成したとしており、この値はPCR検査の感度といわれる42~71%を大きく上回る。研究グループは日本は人口あたりのCT撮影装置保有数が高いことから、 新型コロナウイルス検査におけるCT画像の活用が有用となることが考えられるとしている。
※診断典型度
放射線診断専門医がCT画像を以下の4つに分類した上で、1.COVID-19肺炎に典型的な所見を有するもの
2.典型的とは言えない非特異的な所見で不確定なもの
3.非典型的なもの
4.肺炎の所見がないものこれらを2群に分け、新型コロナウイルス肺炎典型度の高い疑わしい症例(1と2)とそうではない症例(3と4)とし、開発したAIの識別能を判定したという。