JSRは、不整脈のスクリーニング・診断が可能な世界最薄・最軽量クラスのホルター心電計を開発、医療機器認証を取得したと発表した。今後クリニック向けにテストマーケティングを開始する。
コードレス・防水機能付で厚さ5mm、重さ12g
ホルター心電計は不整脈などの循環器系疾患のモニタリングに使われる機器で、通常24時間患者の体に電極や機器本体を密着させ検査する。既存の機器は複数の電極を体に付けなければならないため、侵襲はないが日常生活に影響が出ることが少なくない。
これに対し同社が今回開発した「Heartnote®︎」は電極と機器本体が一体化しておりコードレス。かつ厚さ5mm、重さは12gと世界最薄・最軽量クラスだという。さらに防水機能がついており、胸部に貼るだけでほぼ負担なく心電のモニタリングが可能となる。また、最大7日間の連続測定が可能で、従来の24時間測定では捉えにくい循環器疾患である発作性心房細動(脳梗塞の起因となる不整脈)などの検出頻度向上が期待されている。このデバイスは国立研究開発法人国立循環器病研究センターとの共同研究の成果で、先日開催された第84回 日本循環器学会学術集会でもその有効性について発表が行われた(発表者:国立研究開発法人国立循環器病研究センター心臓血管内科部門部長 草野研吾氏)。
同社では循環器疾患の検査に限らず、予防・スクリーニング・診断領域でこのデバイスで検出できる測定データを元に独自のアルゴリズムを構築し、精神疾患や生活習慣病の検知などに応用できる可能性を検討している。更なる応用分野の開拓のため、オープンイノベーションの手法をとって外部の開発・事業パートナーと幅広く協力したいとしている。
なおこのデバイスは2020年6月30日付で医療機器認証を取得し実際の使用もできる状態で、同社は今後クリニック向けに試験提供する方針だ。