鎌倉市は、鎌倉市医師会、救急医療プラットフォームを展開するTXP Medicalと「次世代救急医療体制の構築に向けた実証事業」を実施すると発表した。TXP Medicalが提供するシステムを活用し、救急隊と救急搬送先とのマッチングを迅速に行い、搬送先選定時間の短縮が可能か検証する。
音声入力、自動送信等で救急隊と病院の事務連絡を省力化、マッチングを支援
地域の高齢社会が現実となっているいま、鎌倉市の救急隊の活動状況も近年厳しさを増している。市発表の統計によると、市内の救急出動数は平成21年度から令和元年度まで11年連続で増加し続けており、この11年で出動数が35%増加、市民17人に1人が一度は出動要請する計算となっている。これに対応するため、市は市医師会と救急医療プラットフォーム「Next Stage ER」を全国約40の大学病院や救命救急センターに提供しているTXP Medicalの協力を得て同社のプラットフォームを導入、その効果を検証する実証実験を開始する。
具体的には同社のシステムを活用することで、救急隊はスマートフォンを活用して素早く音声コマンド等で患者情報を入力でき、またバイタルや患部の画像データを簡便に病院へ送信することが可能となる。病院側は救急隊から送信されたデータをもとに、救急患者の症状を直ちに把握し迅速に受け入れの可否を判断できるようになる。なお送信されてきた患者データも、病院の電子カルテに反映でき省力化を図ることができる。また仮に1報目で受け入れが確定しなかった場合も、救急隊は、2報目以降に1報目に作成したデータを活用してそのまま他の搬送先候補の病院へ送信することができるという。実証実験は2021年8月中旬から22年3月31日までを予定しており、効果検証の結果をみて恒常化を判断する。