ICTの全方面活用で加速する「神奈川モデル」 新型コロナ対策で際立つ

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ICTが支える「神奈川モデル」、国への先鞭に

このように、神奈川県は対策本部を中心に現場目線で活用できるツールを厳密に吟味しながら、実に9つものデバイス/サービスを導入していた。活用されたツール群はいずれも単に電子化や効率化を実現するだけでなく、緊急事態に求められる厳しい要件もクリアし、危機に対応する当事者たちを力強く支えていた。そしてこのモデルは、ともにウイルスとたたかう他の自治体、国にとっても大きな参考となるものだった。

実際、神奈川モデルを支えたICT活用の事例は国にとっても先駆事例と捉えられ、すでにいくつかが取り入れられている。まず3月下旬に、県が行なっていた全病院に対する日次調査とそのシステム、そのデータをWebで公開した事例は、その後政府が全国で同様の情報を収集・公開するきっかけとなった。

政府CIOポータル:全国医療機関の医療提供体制の状況およびオープンデータを公開しました(β版)

また、無症状・軽症の患者をモニタリングする一連のシステム、特に関係者を悩ませていた「発生届」の紙による管理とデータ収集の効率化は、政府にも注目され、管理システムを同時期に検討していた厚労省にも大きな示唆を与えている。

新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)について

こうした先行例を踏まえ、5月6日には加藤厚生労働大臣が「神奈川モデル」の内容を改めて把握するため視察に訪れ、「全国の先駆けで国としても参考になるものだ」と明言した。

「第2波」に備える体制も事前に構築

5月20日、黒岩祐治神奈川県知事は記者会見し、政府が緊急事態宣言解除の検討を行っていることを受け、今後の新型コロナ対策について発表した。その中にもICTツールを活用した、再度の感染拡大防止のための取り組みが発表されている。

神奈川県発表の資料より https://www.pref.kanagawa.jp/documents/62612/k-vision.pdf

会見で発表された内容によると、これはいわゆる接触確認アプリ、コンタクトトレーシングの神奈川版とも言えるものだ。新たに入店記録登録用のQRコードを、任意で店舗に配布。先に導入されている「新型コロナ対策パーソナルサポート(行政)」アカウントを活用し、利用者が入店時にLINEアプリで読み込むことで記録を残す。後日、もしその店舗の顧客に感染者が発生すれば、保健所を通じて発生したことを記録を残した利用者に同報する。県によれば、LINEにはもともと匿名化されたかたちで情報が登録されるため、個人情報漏えいのリスクはないという。

幸いにも現在、いわゆる「第1波」は収束の方向に向かっている。しかし経済を通常に戻す過程で、再び感染爆発が起こる可能性は十分考えられ、そのときはウイルスのさらなる変異が、私たちをより厳しい戦いに追い込むかもしれない。その新たなステージへの備えを考えるとき、今回「神奈川モデル」が示した実績は、国とすべての自治体にとって価値あるものであるはずだ。

<了>