日本経済団体連合会(経団連)は18日、ホームページで健康医療分野の政策提言書を発表した。デジタル技術を活用したヘルスケア政策全般について「目指す姿」と「課題」を提示したうえで、経団連としての提言をまとめたもので、オンライン診療の診療報酬引き上げなどを求めた。
オンライン診療、オンライン服薬指導などで具体的な提言
経団連が18日に発表したのは「Society 5.0時代のヘルスケアⅢ」。2018年から2年間隔で同タイトルの提言書を発表しており、今回は3回目となる。総論とともに「健康管理・増進」「診療」「調剤・服薬指導」「手術」「介護」「治験」の5分野について各論を展開。それぞれの目指す姿、現状の課題、目指す姿を実現するにあたっての経団連としての政策提言をまとめている。
「診療」の分野では、特例措置にも関わらずオンライン診療が普及しておらず、その原因は診療報酬の低さにあると指摘。「オンライン診療においても対面診療と同内容・同水準で実施されるものについては、同等水準で評価・算定可能とすべき」と提言した。また「D to P with D」や「D to P with N」の評価拡充、先日までのオンライン診療指針の改定で盛り込まれた「診療前相談」におけるヘルスケアアプリ等の情報活用、「医療アプリ」の早期承認制度の新設を求めた。
「調剤・服薬指導」の分野では、オンライン服薬指導を行うための設備投資が進んでいないことや、紙の原本しか認めない処方箋の取り扱い規制、薬剤師に対する処方箋処理の総量規制、対面販売を前提とする規制などが、政府自身も目指す「一気通貫のオンライン医療」実現の妨げになっていると批判。オンライン服薬指導の恒久化とともに、同一薬剤師の要件、オンライン服薬指導を全体の1割以下に抑制する規制、薬剤師一人あたり40枚とされる配置基準の撤廃を求めた。また薬局以外からのオンライン服薬指導、対面機能自体を持たない薬局開設の容認も提言した。電子処方箋については速やかな普及のため、要件となるHPKIカード普及率向上を早急かつ強力に推進すること、あるいはHPKIカード以外の認証手段を確保することを求めた。