慶應義塾大学医学部、心臓カテーテル治療の要否を判断するAI開発

2018年1月11日、慶應義塾大学医学部内科学教室(循環器)の研究グループは、AI(人工知能)を応用し、胸痛で救急外来を受診した患者の心電図1枚から、カテーテル治療が必要かどうかを80%以上の精度で判定する技術を開発したと発表した。

4万人の患者データがベース、精度は80%

(プレスリリースより)

開発したのは慶應義塾大学医学部内科学教室(循環器)の佐野元昭准教授、後藤信一助教らの研究グループ。急性心筋梗塞などの生命に関わる急性冠症候群は、一刻も早い心電図による診断と処置の決定が必要とされるが、医師の診断能力にはばらつきが大きく、また、現在心電計に搭載されている心電図自動解析の精度も満足のいくものではないという課題があるという。

この課題を克服するため、研究グループは過去に慶應義塾大学病院の救急外来を受診した患者約4万人の心電図データを活用。通常1/100秒程度ごとに測定している心電図の、それぞれの電圧測定データ(線グラフ)を時系列に並べたデータを作成し、その心電図で実際にカテーテル治療を行ったかどうかを教師データとして与え、AIに学習させた。4万枚のうち70%を学習用として使いモデルを構築、残りの30%(約12,000枚)をモデルの検証用として実際に判断させたところ、80%以上の精度で正解を提示したという。研究グループでは本技術を心電計に搭載することにより、緊急的なカテーテル治療の必要性を即時的に判定し医師に提案することが可能になるとしている。