政府の規制改革推進会議医療・介護ワーキング・グループ(座長:大石佳能子・メディヴァ代表取締役社長)は、新政権発足後の第1回会議をオンラインで開催した。テーマは「新規領域における医療機器・医薬品の開発・導入の促進」で、先日日本での初事例がようやく実現した医療機器プログラム(SaMD=Software as a Medical Device)の今後の促進についてが議論のほとんどを占めた。
すでに世界に比して「SaMDラグ」が生じていると指摘
この日はまずヒアリングが行われ、MICIN所属の桐山瑶子医師(元PMDA=医薬品医療機器総合機構)や経団連から意見を聞いた。桐山氏は自身も担当行政に関わっていた経験も踏まえ、現状についてグラフを示しながら、日本はすでに世界から遅れていることを指摘。その要因として以下の「障壁」を示した。
- 医療機器該当性の判断がわかりづらく、また判断部署が統一されておらず判断がばらつく
- デジタルヘルスに特化した体制が整えられておらず、従来の医療機器と同じ承認プロセスが用いられている
これらに対応する施策として、桐山氏は「該当性判断基準の明確化と、窓口のPMDAまたは厚労省への一本化」「判断事例の公開と判断に関するデータベースの構築」を提案した。同時にヒアリングを受けた経団連も一部について同様の施策提案を行った。
厚生労働省は「行動変容アプリ」についての考え方を公開予定
会議に出席した厚生労働省の担当官は、ヒアリングで指摘された点についての回答としてではなく、現時点で同省が考える施策を近日の取り組みを説明した。同省によると、今年8月に承認したCureAppのニコチン依存症治療アプリの審査における考え方を公開することや、来年度初頭に海外の事例も含めた承認/非承認事例の紹介を含む通知を行う予定だという。
会議に担当大臣として出席した河野太郎行政改革担当大臣は「SaMDラグは憂慮すべき状況で、日本の遅れが恒常化してしまっている。日本はむしろ高齢化の中でこの分野を切り拓いていける存在で、世界をリードしていかなければいけない」と議論と取り組みの推進に期待を寄せた。