神戸市が今年度から進めている「第3期データヘルス計画」のなかで、市民の健康ビッグデータをもとに生活習慣病の発症リスクを解析し、リスクが高いとみられる市民に対し受診勧奨を行う取り組みを始めることが分かった。従来手法に加えAIを活用することで、特定健診などの受診率向上を目指す。
身長体重などのデータも加えAIで解析
神戸市では市民の健康保持増進、医療費適正化を目的として、2015年よりレセプトデータや特定健診等のデータを解析し、保健事業を展開する「データヘルス計画」を推し進めてきた。具体的な目標として「特定健診受診率の向上」「指導実施率の向上」「生活習慣病重症化予防対策」「重複薬対策」「ジェネリック医薬品の推進」「フレイル対策」を掲げ、2023年度で終了した第二期では概ね目標を達成したが、特定健診受診率の向上に関しては、コロナ禍もあり達成には至らずむしろ減少する結果となった。
神戸市はこの結果を受け、特定健診の受診率向上に向けた新手法を採用する。AIを活用して過去の健診受診パターン・年齢・健診質問項目から読み取れる生活習慣等を分析し、受診効果があると考えられる性向パターンの勧奨を実施。 特にこれまでアプローチ出来ていなかった健診未受診者への勧奨を重点的に行うとともに、40歳代〜50歳代へのSMS勧奨を新たに実施する。
採用するのは日本システム技術(東京都)が開発したAIで、同社が独自に保有しているレセプトデータを中心としたメディカルビッグデータ「REZULT」を用い、健診受診から5年後の生活習慣病発症リスクを予測する機械学習モデル。従来のリスク判定モデルには含まれていなかった個人データ(身長・体重・年齢・特定健診結果)の実情を反映した、より精度の高いモデルだという。同市はAIの採用により、受診勧奨対象者選定の精度向上とSMSによるタッチポイントの強化を通じて、昨年度終了時点で31.9%だった特定健診受診率を、2028年度末までに42.5%まで向上させることを目指す。